「水原一平氏」の通訳は、本当に“意訳しすぎで聞き取りづらい”? 「日本人バイリンガル」が明かす“意外すぎる評価”とは
“言い換え”で大谷の言葉を引き出す
福原氏が例として挙げたのは、昨年3月のワールド・ベースボール・クラシックでアメリカを3-2で下した試合後のインタビュー。9回に登板し打者3人で抑えセーブを記録した大谷に、インタビュアーがエンジェルスの同僚、マイク・トラウト選手との対戦について尋ねたシーンだ。
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インタビュアー:
You’ve been playing with Mike Trout for the past couple of years now. You guys are brother now. Why you gotta get so nasty on him?
ここ数年マイク・トラウト選手と一緒にプレイしていて、今では兄弟のような間柄ですよね。なぜそんな彼に意地悪をするんですか?
水原一平氏の日本語訳:
トラウト選手と何年もやって、兄弟のような関係で、めちゃくちゃ仲良いと思うんですけど、なんであんなエグい球を投げたんですか?
大谷翔平の回答:
正直、誰よりも彼の凄さというか、本当にネクスト(バッティングサークル)から毎年のように見ていますし、本当にチームメイトが一番彼の凄さっていうのを人間性も含めて、どれだけ素晴らしいかっていうのを分かっていると思うので、自分のベストを超えるような球を投げないと、なかなか抑えられないようなバッターじゃないかと思って、そういう気持ちでいきました。
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「意地悪」を意味するnastyという言葉を、「エグい球」と変換することで、大谷の「リスペクトしているからこそベストを尽くした」という言葉を引き出している。
大谷のことが分かっているからこそ出来る“付け足し”
今度は大谷の日本語での返答を英訳する場面について。
例として挙げたのは、昨年のオールスターゲームでのインタビュー。通算210勝、サイヤング賞3回を誇るドジャースの有名選手、クレイトン・カーショウ投手について交わされたやり取りだ。
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インタビュアーの質問の日本語訳 :
カーショーと打席で対戦する機会があると思うが、カーショウはどこが良い選手だと思うか。
大谷翔平の回答:
コマンドがやっぱりいいですし、一球一球の再現性が高いので、クオリティが一球一球落ちないのがすごい。
水原一平の英語訳の内容:
カーショウの良い所は配球だと思います。どんな時でもどんなカウントでも。得点圏にランナーがいても、常に同じボールを投げることのできる再現性の高いピッチャーであることです。
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実際には大谷は“得点圏”でのカーショウ選手の勝負強さについてはまったく言及していないが、水原氏が大谷選手の言うところの「再現性」の意味をしっかりと理解し、補っていることが分かるという。
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