ソフトバンク、3年間で「122億円超」大型補強もコスパがあまりに悪い…他球団関係者は「いくら待遇が良くても……」

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「今後の補強は簡単ではない」

 ただ、その中から、亀沢恭平(2011年同2位)が中日、長谷川宙輝(2016年同2位)がヤクルト、大竹耕太郎(2017年同4位)が阪神に、それぞれ移籍して、一軍の戦力となっている。これは、何とも皮肉な話である。球団の売上高は12球団でもトップであり、その基盤があるからこそとれる戦略とも言えるが、選手獲得、選手育成の両面が機能しておらず、それが過去3年の成績に表れている。

 現在のソフトバンクの状況について、他球団の編成担当者は以下のように話す。

「選手にとっての待遇面は間違いなく12球団でトップだと思いますね。複数年の大型契約を結んでいる選手も多いですし、ファームの施設も充実しています。育成選手として芽が出なかったとしても、ソフトバンクのグループ会社への就職も斡旋してもらえるそうですし、選手にとってはありがたいですよね。ただ、いくら待遇が良くても選手としては試合に出てなんぼ、というのはある。毎年のように実績のある選手がFAなどで入ってくると、どうしても若手のモチベーションに影響してくるのではないでしょうか。一方で、実績があってFA宣言した選手も、条件的にはソフトバンクが良くても他球団を選ぶケースも出てきていますし、今後の補強も簡単ではないと思いますね」

 昨年も支配下の70人目の選手として、7月に投手のヘルナンデス(前オリオールズ傘下3A)を獲得したことで、支配下昇格を目指していた多くの育成選手からは不満の声が聞かれた。球団も当然、現状のままでは良くないという認識もあるのか、オフには森唯斗(移籍先=DeNA)、嘉弥真新也(移籍先=ヤクルト)、上林誠知(移籍先=中日)ら、多くの実績ある選手を自由契約にして、チームの新陳代謝を試みている。

 ただ、FAでは、山崎福也(オリックス→日本ハム)の争奪戦に敗れるなど、この編成担当者が言うように他球団からの補強が難しくなっていることも確かだ。

 このオフには山川の人的補償問題もあり、あらゆる面で逆風が吹いているなかで、強いホークスを取り戻すために必要なのは、“札束”だけではないはずだ。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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