「浮気野郎」と証拠もないのに僕を罵り、夜の営みも拒絶する年下妻はとんでもない嘘つきだった…46歳夫が語る、“現在の生きがい”

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妻の“過去”に同情をおぼえたが…

 その後、妻は、子どものころ親戚のおじさんに継続的に性的ないたずらをされたことを話し始めた。それが竜一郎さんにとっては大きなショックとなった。

「そんな経験を乗り越えてきた妻がかわいそうで、思わずそうっと抱きしめました。最終的なことはされなかったようですが、その手前の行為をさんざんされていたらしい。妻は『だから触れられるのが怖いの』って。それは当然ですよね。僕は、そのおじさんを成敗してやりたかった。でももう亡くなっているという。亡くなった人には恨みを晴らすこともできない」

 妻に同情はしたものの、それが竜一郎さんのストレスにもなり、かえって推し活に燃えることとなったのだから皮肉なものだ。

「1年ほど前、妻が僕の実家に行くと言い出したんです。どうやらときどき、妻は僕の両親に会っていたようで、たまには一緒に行こうというのでついていきました。みんなでお茶を飲んでいると、妻が突然、涙ながらに話し始めた。僕が浮気しているという話でした。そして僕を『この浮気野郎が』と罵った。母は『智花さんを悲しませるようなことはしないで』と僕を責めるし、父も苦虫をかみつぶしたような顔をしてる。突然の四面楚歌状態に僕のほうがびっくりしましたよ」

 そんなことになるとは思っていなかったのだが、あとから考えると、妻はすでに彼が浮気していると両親に訴えていたのだろう。3人で彼をつるし上げようということになっていたに違いない。3人の連携が妙にとれているような気がしたと彼は言う。

「その場で彼女が両親に突然、頭を下げたんです。『私は病気があって、実は子どもが産めないと最近わかったんです。結婚後にわかったことが申し訳なくて。私にはそれが大きな負い目となった。竜一郎さんが浮気したくなる気持ちもわかる。それだけにどうしたらいいかわからない、離婚したほうがいいならそう言ってほしい』って。親はもちろん、あわてて『あなたが悪いわけじゃないんだから気にしないで』『こいつは結婚が遅かったんだから、子どもなんていてもいなくてもいい』と妻をかばいました」

自分を守るための嘘だった

 そのときわかった。妻は生来の嘘つきなのだと。自分を守るためにはどんな嘘もつく。自分の目の前で、そこまで嘘をつかれたら、彼としては反論のしようもなかった。あげく、妻は「私が女として機能不全だからといって、浮気に走るのはひどい。悲しくてさみしくて、どうしたらいいかわからない」とさめざめと泣いた。浮気野郎がと罵ったり、私が悪いと泣いたり。劇場型、まさに女優だと彼は感嘆すらしたという。

「仕返しをするつもりはなかったんですが、ある日、ひとりで妻の実家に行ったんですよ。久しぶりだったので義父母は歓迎してくれましたが、ひとりなのを不審がられてはいたみたい。ただ、どうしても智花のことでわからないことがある、彼女を理解したいから来たと告げました。そして子どものころの性的いたずらの件を探ってみたんです。直接的なことは言えないから、しょっちゅう家に来ているような親戚のおじさんはいたのかとか、彼女の子ども時代はどんなふうだったのかとか……。するとご両親が『何かありましたか』って。『あの子は、急に大きな嘘をつくことがあるので』と義母が心配そうに言うんです。ああ、やっぱり子どもの頃からの癖なのかと納得がいきましたね」

 おそらく彼女が性的いたずらをされたというのは嘘なのだろう。彼の気を引くためだったのか、性行為を避けるためだったのか、理由はわからないが自分を守るための嘘であったことは間違いない。

「ただ、あれ以来、うちの両親がやたらと心配するようになって。『僕は浮気なんかしていない。あれは彼女の妄想なんだ、彼女は嘘つきなんだ』と伝えたけど、両親は彼女の味方ですね。父に説教までされてしまった。どうしてこの年になって、そんなことで親に心配させなければいけないのか、親から説教されなければいけないのか。彼女の目の前で彼女の嘘を暴けばいいんだろうけど、それもめんどうだし、何より彼女の根拠のない嘘をどうやって嘘だと証明すればいいのかもわからない」

 嘘はついた者勝ちなんだろうか、つかれたほうは黙って受け入れるしかないのだろうかと彼はつぶやいた。

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