40歳を過ぎて年下女性と結婚したものの…初夜は見事に拒絶、その後、彼女の寝室に忍び込んで聞かされた言い訳に、夫は「それはないだろう」

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欲望は風俗で…

 智花さんの両親は遠方に住んでいたが、感じのいい人たちで、実家同士の諍いは起こりそうになかった。

 問題は、「毎日、隣に女性がいるのに触れられないことだった」と竜一郎さんは言う。しかたなく、彼は寝室を別にした。30歳になったときに買ったマンションは3LDKだったから部屋には余裕があった。智花さんは夫婦で寝室が別だなんてと文句を言っていたが、「しかたがないでしょ。オレに襲われたくないでしょ」と言うと黙り込んだ。

「ただ、彼女は家事はきちんとしてくれました。きれい好き過ぎて、ちょっと居心地が悪かったけど。おそらく専業主婦になりたかったんでしょうね。あとから彼女のいた部署の知り合いから、『あの子は専業主婦になって楽したいって言ってたわよ』と聞きました。早く言ってくれよという感じですよ。それにしても会社からも期待されて仕事も好きだったはずの彼女が、どうしてそんな心境になったのかはわからなかった」

 30歳になり、心境の変化があったのかもしれない。結婚して生活を確保しながら、新たに自分の人生を考えたかった可能性もある。

 家の中がきれいになり、帰ると食事ができている。そんな生活も悪くはないと思っていた竜一郎さんだが、妻と触れあうことができずに悶々とする日が続いた。ときどき風俗に行った。疑似恋愛だとわかっていながら、風俗嬢にはまったこともある。だが妻は常に淡々としていて、彼が風俗に行っているのを知ってか知らずか変わりない日々を送っている。

とうとう我慢できなくなり…

 ある日、とうとう我慢できなくなった竜一郎さんは、夜中に妻の寝室に忍んで行った。

「しようよと声をかけると、妻も覚悟を決めたのか自分のベッドに入れてくれました。でもいざ行為に及ぼうとしたとき、妻は『私、したことがないの。それに子どもは産めない』と泣き出したんですよ。男性経験がないことと、子どもが産めないことは別なんだろうけど、僕もなんだかとっちらかって、そのままやる気が萎えてしまった。明日、ゆっくり話そうと言ってその日は自室で寝ました」

 結婚してから半年ほどたって、ようやく智花さんは自分のことを話し始めた。先天的に子宮に若干の障害があり、10代のころから月経が定まらなかったという。20代半ばになり、詳しく検査をしたが、自然妊娠はむずかしいと言われたそうだ。

「とはいえ子どもがほしいなら不妊治療だってあるし、そもそも僕は子どもがほしくて結婚したわけでもない。普通の夫婦ならするだろうことをしたいだけだと言ったら、『あなたは私を好きでもないのに結婚したのよね』と言われました。結婚してから好きになったよと言うと、嘘だとまた泣いて。何かよほどのコンプレックスを抱えているとは思いました。それが妊娠しづらいことなのか、あるいは他にもあるのかはわからなかった」

 竜一郎さんは、僕はきみのことをもっと知りたいだけなんだと妻に語り続けた。閉ざされてしまった彼女の心を何とかしてやりたい。そんなふうに思っていた。

後編【「浮気野郎」と証拠もないのに僕を罵り、夜の営みも拒絶する年下妻はとんでもない嘘つきだった…46歳夫が語る、“現在の生きがい”】へつづく

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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