高齢者は8時間以上寝ると寿命が縮む? 世代ごとに違う「睡眠時間と死亡リスク」
昼夜のメリハリが重要
中には「毎日8時間以上寝られている」という高齢者もおられるかもしれません。このような場合、現役時代から変わらず、日中に体を動かして働いているような方であれば睡眠時間を無理に減らす必要はありません。体を動かすことで、多少“牛乳”は増えているはずですから。ただ、すでにお仕事を引退されている場合、自分ではぐっすり眠れていると思っていても、実際は夜中に2回も3回もお手洗いに目を覚ますという方が結構多いのです。夜中のお手洗いは「頻尿」という泌尿器科系の病気の可能性もありますが、眠りが薄まっているせいで目が覚め、結果、尿意を催すケースも多々あります。こうした場合はむしろ睡眠時間を減らしたほうが、より濃い睡眠が得られるのです。
それから、昼間の眠気に悩む高齢者も多いと思います。先ほども言ったとおり、これは加齢に伴って昼夜のメリハリが少なくなっているためで、夜間の睡眠不足が原因ではありません。現役世代の昼間の眠気の多くは夜間の睡眠不足に由来するものですが、高齢者が同じように考えてしまうと「夜、もっと眠らなきゃ」と勘違いして、余計に布団にしがみつくことになる。高齢者で昼間の眠気が気になる方は、夜の睡眠時間を増やすのではなく、昼間しっかり体を動かして昼夜のメリハリをつけることが重要です。どうしても日中に眠気がくる場合、短時間の昼寝は致し方ないと思います。ただ、夜に影響しないよう、長時間の昼寝は避けたほうがいいでしょう。
「寝酒はお勧めできない」
それでもなかなか寝付けないという夜は、いったん寝床を離れてみるのも有効です。この場合、いきなり明るい部屋に行ったり、テレビを見たりすると体内時計が狂ってしまいますから、薄暗い部屋で椅子やソファに座ってだらっとリラックスした時間を過ごしてみるのです。この時、横になってしまうと体が眠りに入ったと勘違いしますので、極力背もたれに体を委ねる状態にとどめ、眠気を待ちます。
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