松潤ら旧ジャニーズから既に5人出演も…木村拓哉が大河ドラマに起用されない謎を解く
大河ドラマで主演すると…
2026年に放送される大河ドラマ「豊臣兄弟!」の主演が、仲野太賀(31)に決まった。来年の大河ドラマは、仲野と同じスターダストプロモーションに所属する横浜流星(27)が主演を務める「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」が放送される。
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「現在、NHKは旧ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)に所属するタレントの番組への新規起用を見送っていますが、逆に距離を縮めたのがスターダストです。所属する俳優は男女とも旧ジャニーズ勢よりも演技派ぞろい。しかもここに来て、若い視聴者を意識して主演の若返りを狙うNHKのニーズとも合っています。同じ事務所のタレントが、2年連続で大河に主演起用されるのは、かなり異例のことです」(放送担当記者)
これまで、「独眼竜政宗」(87年)の渡辺謙(64)、「徳川慶喜」(98年)の本木雅弘(58)、「功名が辻」(06年)の仲間由紀恵(44)、「龍馬伝」(10年)の福山雅治(55)、「八重の桜」(13年)の綾瀬はるか(39)、「真田丸」(16年)の堺雅人(50)、「西郷どん」(18年)の鈴木亮平(40)、「鎌倉殿の13人」(22年)の小栗旬(41)など、大河ではテレビ・映画の主演クラスの俳優がことごとく主演を務めてきた。
「大河の主演と、朝の連続テレビ小説(朝ドラ)のヒロインを演じることは、いまだに俳優にとってはステイタスです。放送時間に視聴習慣が定着している視聴者も多いですし、民放のドラマをあまり見ない中高年世代も多いので、役者にとって顔と名前を売るにはこれ以上ない宣伝ツールなのです。朝ドラの放映は半年ですが、大河は1年と、普通のドラマ4期分。当然、主演以降は次回作の映像作品やCMのオファーが殺到しますし、ギャラも跳ね上がります。役者としての格が大幅に上がった証になる。よほどの事情がないとオファーを断る事務所はないでしょう」(大手芸能事務所関係者)
そんな中、歴代の主演俳優にその名を連ねていない大物といえば、木村拓哉(51)の名が浮かぶ。
木村は、SMAPのメンバーとして活躍しつつ、90年代前半からドラマの主演を務め、俳優としても活躍。“主戦場”だったフジテレビの看板ドラマ枠である「月9」では、「ロングバケーション」(96年)、「ラブジェネレーション」(97年)、「HERO」(01年)、「エンジン」(05年)、また、TBSでは「ビューティフルライフ」(00年)、「GOOD LUCK!!」(03年)など、主演作がことごとくヒットした。
主演映画では、「HERO」の劇場版は2作で興行収入127億円、東野圭吾さんの原作を実写化した「マスカレード」シリーズも2作で82億円を叩き出している。現在まで各局のドラマで主演を張り続け、4月からテレビ朝日系で放送される「Believe-君にかける橋-」では、設計者として橋の建設に奮闘する大手ゼネコンに勤務する主人公を演じる。
「最終的には木村さん本人の判断ですが、SMAP時代に関しては敏腕チーフマネジャーのIさんが『本人のイメージに合うか』を最優先にして決めていました。さらに、特定の役のイメージが付くことを嫌っていたのでピアニスト、検事、美容師、レーサー、アイスホッケー選手、総理大臣など、さまざまな職業の役を演じることになりました。『HERO』の通販大好きなキャラや、ドラマに登場する小道具などは、本人が現場でアドリブで決めることが多かったようです。一番本人がノリノリだった役は、人気アニメ『宇宙戦艦ヤマト』シリーズ初の実写版となった主演映画『SPACE BATTLESHIP ヤマト』の古代進役だったとか。同世代の作品だったこともあり、決めゼリフの『波動法発射!』がどうしても言いたかったのでしょう」(民放テレビ局関係者)
日本アカデミー賞で起こった出来事
これまで、旧ジャニーズ所属タレントで大河の主役へ抜てきされたのは、「琉球の風」(1993年)の東山紀之(57)、木村と同じ元SMAPメンバー・香取慎吾(47)の「新選組!」(2004年)、さらに、元旧ジャニーズ副社長の滝沢秀明(42 )の「義経」(05年)、岡田准一(43)の「軍師官兵衛」(14年)、そして昨年、松本潤(40)が抜擢された「どうする家康」の5人(本木雅弘は98年の「徳川慶喜」に主演しているが、当時はジャニーズを退所していた)。
「木村さんはキャリアも実績も、この5人にはまったく劣っていません。さらに、SMAP時代はほぼ毎年、大みそかの紅白に出場してNHKへの貢献度もそれなりにあります。しかし、なぜかお声がかからないのです」(ベテラン芸能記者)
木村は時代劇への出演はあるものの、メインは現代劇である。基本的に、これまでの大河は実在した人物を主人公にして、史実を元に描かれる時代劇がメイン。正直、現代劇にハマりまくっていた木村がその主演を務めるというイメージを描くことはあまりできなかった。
「SMAP時代からの木村さんの戦略は、ドラマで主演を務め、作品が話題になって新たなCMオファーが来る――ということの繰り返し。そのため、旧ジャニーズの中で唯一、完全歩合制の給与体系だったSMAPのメンバーの中でも、CM効果もあり稼ぎも多かった。最近のテレビドラマ撮影は、トータル3カ月ほどが基本です。ところが、大河となると、放送前年の夏ごろから1年から1年半もの長い拘束になります。今後、名前を売りたい俳優ならば、大河でステップアップを果たせますが、木村さんはこれ以上、知名度を上げる必要はありません。民放よりも拘束時間が長い割にギャラが安い大河には“色気”を見せなかったのではないでしょうか」(同)
その木村が、映画で初の時代劇主演作となったのは、06年に公開された山田洋次監督の「武士の一分」だった。
同作は興行収入41.1億円を記録するヒット作に。当時の木村の勢いからすれば、物足りない数字に思えるが、それなりに評価を受けていたにもかかわらず、何とも後味の悪い出来事が起こってしまったのだ。
「チーフマネジャーのIさんが、木村さんに関しては、何事も『ナンバーワン』でなければ納得せずという方針なので、最優秀賞が獲得できなかった場合を危惧したのか、『第30回日本アカデミー賞』の最優秀賞候補である、5人の優秀主演賞を『賞レースには参加しないという事務所の方針』として辞退してしまったのです。前代未聞の出来事で、映画業界の関係者たちはすっかりあきれ果ててしまいました。結局、その年の最優秀賞は『明日の記憶』の渡辺謙さんが受賞しましたが、正直、木村さんにとっては“負け戦”になったでしょう。『武士の一分』で共演した笹野高史さんが最優秀助演賞を獲得したこともあって、すっかり木村さんの演技はかすんでしまいました」(映画ライター)
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