北朝鮮による日本人拉致、地震、皇室…新潟県警警備部の知られざる実像とは

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皇后陛下のお印が清酒に

 新潟は震度5以上の地震が多いことでも知られる。阪神淡路大震災以来の震度7を観測した新潟県中越地震(2004年)、新潟県中越沖地震(07年)、そして今回の能登半島地震に対処した機動隊は、警備2課の警衛警護係が指揮する警衛面でもスキルを発揮している。

 改元間もなく「第34回国民文化祭・にいがた2019」開会式出席のため新潟を訪問された天皇皇后両陛下を護衛した。1988年には中核派の軍事倉庫が新潟で発見されており、反皇室勢力と対峙しながら蓄積した警衛のノウハウは警察庁から評価されてきた。

 皇后陛下の実家・小和田家が藩士だった村上藩(村上市)では、お代替わりを記念し雅子さまのお印「ハマナス」の花酵母を使った清酒が造られた。雅子さまは2019年の国民文化祭に出席された際、同年に震度6強を記録した新潟・山形沖地震で「被災された方はどういう状況ですか」と心配されていたとのオフレコ秘話も残る。新潟とは縁深いのだ。

 3月20日の学習院大卒業式に合わせ地震被害に「胸が痛みます」と述べられた愛子さまと地震県・新潟に格別な想いを寄せられる雅子さま。「県警を牽引する警備部の3大テーマが拉致と地震、そして皇室なのです」(同)。

 だが県警も万事順風満帆ではない。99年に本部長となった小林幸二氏は前述の沖縄、愛知両県警で警備部長を歴任して、新潟に来た。前任本部長は西川徹矢元防衛省官房長で、警察官僚出身だが、背広組トップの防衛次官候補に挙げられた警備警察の雄である。その後継者の小林氏がミスを犯す。

 三条市で小4の少女(当時9歳)が誘拐され2000年1月まで9年間も監禁されていた事件が、偶然の被害者発見で発覚。だが小林本部長は発見当日、警察庁幹部を飲食接待していて帰庁しなかった。これを「被害者感情を無視して雪見酒に興じた」と批判され辞任。同本部長ポストの格付けが下落した。万景峰号はミサイル実験の制裁で現在寄港できず新潟港の重要性も低下。横田さん拉致犯 も未解明のままだ。

 前出の重鎮は「新潟県警警備部には早紀江さんが元気なうちに国際手配を実現させ、改めて存在感を示して欲しい」と語っている。

朝霞保人(あさか・やすひと)
皇室ジャーナリスト。主に紙媒体でロイヤルファミリーの記事などを執筆する。

デイリー新潮編集部

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