新朝ドラ「虎に翼」 「演技のレッスンが本当に嫌いで…」ヒロイン・伊藤沙莉が明かした独特の演技術

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現場での感覚や感情で役をつくる

 法律家は正直で、知性的でなくてはならないが、伊藤はどちらもあてはまる。まず自分を飾らない。

 演技力に定評があるので、インタビューの際にレッスン歴を尋ねたところ、バツが悪そうに「ないんです」と答えた。

「演技のレッスンが本当に嫌いだったんです(笑)。だから、お芝居のワークショップに一度参加したくらい」(伊藤)

 レッスン嫌いを公言する女優も珍しい。撮影前の役作りすら否定した。

「役は現場での感覚や感情でつくります。事前にガチガチに決めていくと、監督の求めてくれたものに合わせにくくなることがありますから。柔軟性を忘れてしまうと、がんじがらめになり、何もできなくなる恐れがあると思うんです。それに自分が作り上げてきたものが全てになってしまうと、共演する相手の方から出てくるものに素直に反応できなくなることもありますので」(伊藤)

 独特の演技術だが、これが伊藤の魅力につながっているのかも知れない。

人気者だと思ったことはない

 知性も強く感じさせる。支持が高まっていることについて聞くと、SNS時代と絡めて、こう語った。

「人気者だと思ったことはないんですが、自分に対してプラスの意見を持ってくれている人が以前より増えているとしたら、減るのが怖いですね。SNS時代ですから、引っ繰り返るのなんて、あっと言う間です。人気もイメージも高いところにまで上がるほど、落ちてしまったときの傷が深いと思います」(伊藤)

 目標も個性的である。

「私が死んだとき、誰か1人でもいいので、『共演したかった』って思ってもらえる女優になっていたいですね」(伊藤)

 背景には共演が夢だった樹木希林さんが2018年に亡くなってしまったことがある。訃報に接したとき、伊藤は地方ロケのためにいたホテルの部屋で号泣したという。

いつもの朝ドラと同じく豪華布陣

「虎に翼」の共演陣は寅子の母親の猪爪はる役が石田ゆり子(54)、父親の直言役が岡部たかし(51)。岡部は前作「ブギウギ」からの連投で、アホのおっちゃんからエリート銀行マンに一変する。猪爪家の居候で高等試験司法科を目指している佐田優三役は2026年の大河ドラマ「豊臣兄弟!」に主演する仲野大賀(31)が演じる。

 寅子が入学する明律大学女子部法科の同級生として平岩紙(44)、桜井ユキ(37)らが出演。司法界のパイオニアとなった女性たちの奮闘と友情も見ものになりそう。

 同学の教授 として小林薫(72)、寅子が編入する明律大で出会う裁判官役で松山ケンイチ(39)が登場する。いつもの朝ドラと同じく、豪華布陣となる。

 米津玄師(33)による初の朝ドラ主題歌「さよーならまたいつか!」も注目されるだろう。制作統括は「鎌倉殿の13人」(2022年)の尾崎裕和氏が務める。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。放送批評懇談会出版編集委員。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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