違法スカウト集団「ナチュラル」壊滅を進める警察の内部文書入手 スカウト狩りで揉めたヤクザとの「その後」と“大人のおもちゃ”を使った「壮絶リンチ」
歌舞伎町で起きた「スカウト狩り」騒動の顛末
こんな注意書も付け加えられている。
〈ナチュラルは、令和2年に発生した住吉会傘下組織とのトラブル以降、「ホワイト」「広告ナビ」などと名乗っているが、ここでは「ナチュラル」と称する〉
このトラブルに記憶がある人は多いだろう。20年6月に歌舞伎町で勃発した「スカウト狩り」騒動である。約100人のヤクザが歌舞伎町内のあちこちに立って、スカウトらしき男を見つけるや大人数で取り囲み、殴る蹴るの暴行を加えた。その原因・経緯についてはこうまとめられている。
〈ナチュラルの後ろ盾は住吉会幸平一家加藤連合会賢総業とされていたが、令和2年6月、歌舞伎町内において住吉会傘下組織と木山兄弟の間で乱闘事件が発生した。その後も俗に「スカウト狩り」と呼ばれる住吉会傘下組織構成員によるナチュラルスカウトに対する暴行事件が発生し、ナチュラルは一時的に歌舞伎町においてスカウトができない状況となった〉
〈本事件の背景は、ナチュラルが別会社のスカウトを引き抜いたことが発端とされ引き抜きを受けたスカウト会社が自社の後ろ盾である住吉会幸平一家加藤連合会聡仁組に相談をし、聡仁組、賢総業、ナチュラル間で調整をしようとするもナチュラルが反故にしたことにより、「住吉会傘下組織VSナチュラル」の構図となったと言われている〉
全国へ勢力を拡大。1500人を擁する“大企業”に
その後の顛末についてはこう続く。
〈ナチュラルは、乱闘騒動後、住吉会幸平一家加藤連合会側と手打ちをしたとされ、その条件として多額の和解金(3000万+α)のほか、グループ名の改名、木山兄弟らの引退等が付されたとされている〉
〈Nについては表には姿を見せないが、グループにおける方針、内規、決定事項などについては顧問的な立場で参画し、その影響力は引き続き堅持していると思料される〉
あの騒ぎでスカウトたちは歌舞伎町から姿を消したかと思いきや、名称とケツ持ちを変えて活動を継続していたのである。それどころか、彼らはその後勢力を全国に拡大。スカウトマン1500人を擁する“大企業”にまで成長していた。
後編【私服警察官の顔写真まで…反社組織「ナチュラル」が1500人のスカウトマン管理のため“数千万円かけて”独自開発した「秘密アプリ」】では、引き続け内部資料を紐解きながら、ピラミッド構造の組織体系やスカウトマンたちの報酬体系、そしてグループが数千万円をかけて開発したとされる「秘密アプリ」の内容について伝える。