PGAツアーとリブゴルフの統合話はどうなった? 豹変したモナハン会長の強気発言から分かること

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実力だけでなく人気の高さも反映

 その「頭脳」たちがまず決めるべきは新会社の巨額の株式資本の配分であり、早くも米メディアはその顔ぶれや配分を勝手に取り沙汰し始めている。

 例えば、米スポーツイラストレイテッド誌は「株式の総額は約9億3000万ドルとなり、そのうちの約7億5000万ドルがPGAツアー選手36名の手に渡る」と予想している。

 同誌によれば、PGAツアーはその36名を選ぶための3つの基準を設けているという。

 1つ目はキャリアにおける通算のパフォーマンス、2つ目は過去5年間のパフォーマンス、3つ目はPGAツアーがリブゴルフ対策として導入した人気ランキングに基づくボーナス制度「PIP(プレーヤー・インパクト・プログラム)」の結果だという。

 1つ目と3つ目を考え併せれば、戦線は離脱していても通算82勝を挙げPIPで1位の座を守り続けたウッズが株式を得る筆頭となることは誰の目にも明らかだ。2位以下には、ロリー・マキロイ、ジャスティン・トーマス、スコッティ・シェフラー、ザンダー・シャウフェレ、スピース、ビクトル・ホブラン、トニー・フィナウ、コリン・モリカワ、マックス・ホマという順番で上位10名がリストアップされている。

 日本のエース・松山英樹は、この5年間でメジャー大会であるマスターズを含めて計4勝も挙げているというのになかなか名前が出てこず、トップ20ぎりぎりの19位に付けている。

 そのワケは、米国における人気の度合いが反映されるPIPで「ほとんど得点がなく、ランク外だから」と同誌は記している。それが理由で得られる株式が本当に激減するのだとしたら、それは少々首を傾げたくもなる状況であろう。しかし、プロゴルフが人気商売であることを考えれば、頷けないこともない。

ルマイヤン会長との初会合が実現

 そんなふうにPGAツアーとSSGのパートナーシップ締結やPGAツアー・エンタープライズ創設のニュースが流れ、そのための準備が着々と進められている傍らで、PIFが焦りや苛立ちを感じていないはずはない。

 とりわけルマイヤン会長は、昨年6月にPGAツアーとPIFとの統合合意が発表された際は、PIFと共同で新会社が設立され、ルマイヤン会長自身がそのトップに座るとされていた。それなのに、今ではルマイヤン会長もPIFも「蚊帳の外」のような状態に置かれてしまっている。

 PIFとの関係を今後どうしていくべきかについては、PGAツアーの6名の選手理事の中でも意見が分かれている。

 理事の1人であるスピースは「SSGと手を組んだ今、もはやPIFからの追加投資は必要ない」ときっぱり言い切った。だが、モナハン会長は「PIFとの交渉は続けていくし、続けている」「近いうちにいい結論が得られるはすだ」などと語り、実際、「第5のメジャー」と呼ばれるプレーヤーズ選手権が終了した翌日の3月18日には、PGAツアーの選手理事たちとルマイヤン会長の初会合がバハマで開催された。

 選手理事6名のうち5名はプレーヤーズ選手権に出場していたため、大会終了後に急遽バハマへ飛んだ。モナハン会長、然り。同大会に出場していなかったウッズは、毎年、バハマで開催される「ウッズの大会」ヒーロー・ワールド・チャレンジの舞台となるアルバニーに一足早く入り、この会合のホスト役を務めた。

 資産家オギルビーやSSGの役員らも含め、PGAツアー・エンタープライズの役員のほぼ全員がバハマに集まり、ルマイヤン会長と初めて直に向き合った。

 会合では何が話し合われ、どんな結論が得られたのか? モナハン会長は「詳細を明かすことはできないが、このミーティングは建設的で継続的なものだ」と語り、PIFとは将来的に手を結ぶことを前提に今後も交渉を続ける意思を垣間見せた。

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