PGAツアーとリブゴルフの統合話はどうなった? 豹変したモナハン会長の強気発言から分かること

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 昨年6月に突如発表され、波紋を広げたPGAツアーとリブゴルフの統合話。その後どう進展したのか。【舩越園子/ゴルフジャーナリスト】

モナハン会長の独断に怒り

 PGAツアーのジェイ・モナハン会長が米コンソーシアムのSSG(ストラテジック・スポーツ・グループ)とパートナーシップを結び、営利法人「PGAツアー・エンタープライズ」を共同で設立すると発表したのは1月末のことだった。

 振り返れば、モナハン会長はリブゴルフを支援するサウジアラビアの政府系ファンドPIF(パブリック・インベストメント・ファンド)のヤセル・ルマイヤン会長と「統合に合意した」ことを昨年6月、電撃的に発表。「PGAツアー・エンタープライズをPIFとともに創設する」と発表して世界のゴルフ界を驚かせた。

 しかし、それはモナハン会長とルマイヤン会長が「勝手に決めたこと」「僕たちは何も聞いていない」という怒りの声がPGAツアー選手たちから上がり、以後はPGAツアーの選手理事6名が主体となってツアーとしての意思決定を行なう形に変わっていった。

 そして1月31日にPGAツアー・エンタープライズの設立が正式に発表され、PGAツアーが手を組んだ相手がPIFではなくSSGであることも明かされた。

 今回はそこから現在に至るまでの「続報まとめ」である。

選手から「お金のスペシャリスト」に転身

 SSGから最大30億ドルの投資を得てPGAツアー・エンタープライズが設立されることが発表されてからほぼ1カ月後の3月1日、新会社の頭脳となる13名の役員が発表された。

 CEOに就任するのはPGAツアーのモナハン会長。そして、PGAツアーの選手理事を務めるタイガー・ウッズ、ウェブ・シンプソン、パトリック・カントレー、アダム・スコット、ジョーダン・スピース、ピーター・マルナチの6名も新会社の役員を兼任することになった。ウッズはモナハン会長のサポート役となる副会長も務める。

 注目はジェフ・オギルビーの起用だ。オギルビーは2006年に全米オープンを制し、一時は世界ランキング4位まで上昇した元PGAツアー選手だが、すでに第一線から退き、「以前からとても興味があった」という金融の世界へ身を転じた。現在は資産家として第二の人生を歩んでいる。

 選手仲間からの信頼が厚いオギルビーは、今ではPGAツアーにおけるファイナンシャル・アドバイザーとして選手たちのお金の運用などのアドバイスも行なっている。そんな「お金のスペシャリスト」であり、なおかつPGAツアーのことを熟知している希少な存在ということで、オギルビーは新会社でもオブザーバー的なディレクター職の役員に就くことになった。

 残る5名は、PGAオブ・アメリカの役員が1名、SSGの役員が4名という内訳だ。

 PGAツアーは従来通りの非営利法人だが、新会社のPGAツアー・エンタープライズは営利法人。企業の在り方やお金の流れは異なるものの、PGAツアー・エンタープライズの13名の役員のうち過半数の7名がPGAツアーの役員や理事との兼任という意味では、両者は「同じ頭脳」と考えることができる。

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