なぜ世間は「女子アナ嫌い」になったのか ニュース番組は男性アナ、タレントキャスターの時代へ
日テレの報道番組はタレントだらけに……視聴者とズレていると言われても続くタレント偏重の意図
最も分かりやすいのが、日本テレビだ。夕方帯の「news every.」は市來玲奈アナとフリーになる藤井貴彦アナが抜け、桐谷美玲さんとハンカチ王子こと斎藤佑樹さんが加入する。二人ともキャスター研修は受けているようだが、鈴江奈々アナと森圭介アナがメインでいるのに、わざわざキャスター業をさせなくても、と思ってしまう。
そして藤井アナは有働由美子キャスターの後任として、「news zero」へ。曜日ごとの「パートナー」として、俳優の波瑠さん、板垣李光人さん、ミュージシャンのシシド・カフカさんが起用された。ジャニーズ騒動で賛否両論のあった、櫻井翔さんも続投するという。これまでは落合陽一さんや辻愛沙子さんといった若手の論客もいただけに、全曜日タレントに振り切ってまともなコメントが出るのかと、不安視する声もある。
同様の懸念は、8年ぶりに復活するというフジテレビ「すぽると!」にもある。メインMCに抜てきされたのは千鳥だが、特にスポーツイメージのない人選だ。以前のMC・国分太一さんの進行には、スポーツ知識の薄さを感じさせるとケチがついたこともあった。慶應大学体育会水泳部出身の榎並大二郎アナも脇にいるとはいえ、国分さんの二の舞にならないか心配である。
思えば人気女子アナの登竜門だった「めざましテレビ」も、2021年から谷原章介さんがメインMCの「めざまし8」に。爽やか好青年として主婦人気の高さを当て込んだのだろうが、初期はズレたコメントも多く、谷原さんの起用に疑問符がつくことも少なくなかった。司会が視聴者目線を忘れないことと、報道の素人だと開き直ることは、全く違うということだろう。
それでも危なっかしい女子アナを使うよりはいい。専門職であるはずの女子アナのミスは問題視されるが、タレントキャスターは漢字が読めなくたって世情に疎くたって「まあ仕方ないよね」とお目こぼししてもらえる可能性も高い。
ただそれ以上に、タレントとのパイプ作りに情報系番組ほど便利なものはないのかもしれない。特に日テレは「セクシー田中さん」実写化が問題になったばかり。今後ドラマでのキャスティングが難航することを予想して、いろいろな事務所とのつながりを保っておきたいという思惑もあるだろう。タレントにとっても、クリーンで真面目な印象を与えるキャスター業はメリットがあるように映る。トラブルが報じられた事務所の所属タレントほど、自身のイメージの「ロンダリング」の場として使えると思うのは、うがった見方すぎるだろうか。
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