「超合金」50周年 マジンガーZからドラえもんまで…BANDAI SPIRITSの担当者が明かす“知られざる歴史”

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アニメの内容も“進化”

「超合金」がヒットする中で、さらに人気に拍車をかけたのは、74年10月から2年半にわたって放送された実写作品の『がんばれ!!ロボコン』。

「作中のキャラクターイメージと番組自体の人気も相まって」(岡崎さん)という形で、ロボコンやガンツせんせいといったロボットだけでなく、ヒロイン「ロビンちゃん」(劇中で演じていたのは後に歌手としても活躍した島田歌穂さん)の「超合金」などまで発売された。

 一方、巨大ロボットアニメの内容も進化していった。超合金の発売と時期を同じくして、「当時の言い方をすれば『男の子向けのテレビマンガ』が進化し、そこに見合ったキャラクター玩具を超合金で世の中に出していくことができるようになった」というのが岡崎さんの見方だ。

 すなわち、巨大ロボットが活躍するアニメなどで、『勇者ライディーン』でみられる飛行形態への変形、円盤と一つになる『UFOロボ グレンダイザー』での合体、『超電磁ロボ コン・バトラーV』では五機のマシンが合体して巨大ロボットになるなど、さまざまなギミックが登場。その後も人間型ロボットと戦闘機とサイボーグのライオンが合体する『未来ロボ ダルタニアス』など、映像内のギミックの進化と、玩具としての「超合金」の進化は軌を一にしながら続いてきた形だ。

オタクの萌芽から

 岡崎さんはこうしたアニメのあらゆる進化は「当時で言う、中高生のヤング層が見ても楽しめるものになっていった」と解説する。岡崎さん自身も『コン・バトラーV』の放送当時はすでに小学校6年生になっており、「おもちゃを買って、とは言えない年齢だった」というものの、その合体ギミックのある玩具を目にして「日本の技術はここまで来たのかと、子供ながらに思っていた」と笑う。

 本放送での視聴率は振るわなかったものの、76年ごろからの再放送を経て再編集の劇場版、さら完全新作の続編劇場版で、社会現象ともいえる一大ブームを巻き起こした『宇宙戦艦ヤマト』をはじめ、80年代にはかつてのアニメや特撮番組のキャラクターを再評価する機運も高まっていった。

 岡崎さんがバンダイに入社した88年以降、こうした機運の醸成から「バンダイ各部署の担当者たちが子供の頃に『こんなのが欲しかった』という理想を追い始めていったのでは」といい、『ゴジラ』『ウルトラマン』などの怪獣フィギュアや、ガンダムのプラモデル「ガンプラ」の「HG(ハイグレード)シリーズ」「MG(マスターグレード)シリーズ」など、よりリアル志向となったアイテムが続々と売り出されるようになる。

 「超合金」の世界でもそれは同様で、97年、『マジンガーZ』の放送開始25周年を機に「超合金魂」シリーズが始まった。「それまでの玩具が『対象年齢3歳以上』としていたのに対し、超合金魂は(小さな子には危険にもなる)シャープなエッジまで実装できるように、15歳以上と銘打った。 しかし、実際には15歳の人は子供の頃に『マジンガーZ』をやっていたわけではなく、本当にターゲットとなったのは30歳以上だったでしょう」と岡崎さん。

「超合金魂」のアイテム数を示す「GXナンバー」は今年110番台に突入する。それだけ数々の人気キャラクターの超合金が発売されてきた証だ。

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