「超合金」50周年 マジンガーZからドラえもんまで…BANDAI SPIRITSの担当者が明かす“知られざる歴史”
1974年にポピー(現バンダイ)から発売され、大ヒットした玩具「超合金」シリーズが、2月で誕生から50周年を迎えた。子供たちが手に取って遊べる当初の商品から、今や大人を中心とする「ハイターゲット」層向けの高価な商品群が、さまざまな夢を形にし、なお人気を誇っている。
超人気アニメから
「超合金」という名称はもともと、永井豪原作の人気漫画・アニメ『マジンガーZ』で、架空の鉱物「ジャパニウム」から作りだされる架空の特殊合金「超合金Z」としてその名が登場した。
「アニメは1972年12月に放送開始。その第1話から『超合金Z』が出てくるわけですが、玩具としての超合金の発売は74年2月。73年には(高さが60センチほどもある)『ジャンボマシンダー』が大ヒット商品となったが、番組の当初から合金を使ったフィギュアを作ろうというプランはある程度進んでいたはず。結果的に発売となったのが、74年になったということではないか」
こう話すのは、ハイターゲット層向けの市場展開を目的に2018年に設立されたBANDAI SPIRITS(バンダイスピリッツ)のコレクターズ事業部シニアアドバイザーの岡崎聖さん。
巨大ロボットという大きさの魅力を訴求した『ジャンボマシンダー』は最初の1年間に70万個という売り上げを記録。そこに加えて番組設定を取り入れた「超合金」は大きなインパクトを残し、「スーパーロボット玩具のカテゴリーの両輪となった」(岡崎さん)。
「超合金」は初代マジンガーZの大ヒットを契機に、「当時、ポピーが担当していたキャラクターが軒並み超合金になったほど」で、『スーパーロボットマッハバロン』や仮面ライダーシリーズでは当時放送されていた『仮面ライダーアマゾン』などが「超合金」で発売された。
なぜ亜鉛合金?
そもそも、名称は「超合金」だが、もちろん、架空のジャパニウム鉱石ではなく、実際は亜鉛合金のダイキャストが使われている。
時代背景としての1974年は、その前年の10月に勃発した「第4次中東戦争」によるオイルショックで、プラスチック製品の高騰が影響したとも指摘される。
だが岡崎さんは「もちろんプラスチック価格高騰や物価高もあったかとは思うが、だから小さくして合金の玩具を作ろう、ということではないと思う」と指摘。
当時、企画を手掛け、のちに「超合金の生みの親」としても知られた村上克司さんとも同じ職場で仕事をしていたという岡崎さんは「物価高などという思想よりは、ロボットなので金属で超合金を、とか、巨大ロボットなので大きさのあるジャンボマシンダーを、というコンセプトが強かったのではないか」と推測する。
もちろん、ダイキャストには加工のしやすさもあった。薄くて複雑な形状でも加工しやすく、特徴的な外観を持つスーパーロボットの再現などにはもってこいの素材で「玩具の製法に向いており、金型の形に出しやすい」(岡崎さん)という点が、今もなお愛される玩具であるともいえる。
亜鉛ダイキャスト以前の金属玩具の代表である、銅板に錫をメッキしたブリキ製の玩具が、職人技とされていたのとは対照的だ。
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