「電車男」の“2ちゃんねる”登場から20年…大ヒットがもたらした「オタク文化」の激変期を振り返る

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オタクに対する偏見が事実上消滅したが…

 反面、いにしえのオタクたちからは、こうした商業主義化を嘆く声も聞かれる。オタクをターゲットにした商品が乱発され、節操がなくなっているという指摘もある。「電車男」ヒット前のオタク文化を知る人が、当時を懐かしむことも少なくないようだ。今年50歳になる筋金入りのオタク、A氏はこう話す。

「以前のオタクは、周りから何を言われようとも趣味を貫いていました。部屋で黙々とアニメを見て作画監督ごとの違いを研究したりしていましたし、孤独でも好きな作品があれば十分に幸せでした。最近のオタク界隈を見ていると、美人のコスプレイヤーや声優のライブ、限定の商品が注目されて賑やかではあるけれど、作品をじっくり研究するタイプのオタクが減ったように思います」

 昨今の過度な商業主義化は、「オタクを疲弊させている」と、A氏は話す。筆者は久しぶりにドラマ「電車男」や、その当時に秋葉原を扱ったニュース映像を視聴してみたが、登場するオタクたちは周りから偏見を持たれているのに、好きな作品に触れているときは幸せそうに映ったのが印象的であった。偏見こそ消滅したかもしれないが、果たして現代のオタクは幸せなのだろうか。推し活を扇動する企業に操られ過ぎていないか、気がかりである。

山内貴範(やまうち・たかのり)
1985年、秋田県出身。「サライ」「ムー」など幅広い媒体で、建築、歴史、地方創生、科学技術などの取材・編集を行う。大学在学中に手掛けた秋田県羽後町のJAうご「美少女イラストあきたこまち」などの町おこし企画が大ヒットし、NHK「クローズアップ現代」ほか様々な番組で紹介された。商品開発やイベントの企画も多数手がけている。

デイリー新潮編集部

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