横尾忠則の“エッセイ論” 「自分のエゴを語っているだけ」
このエッセイの連載の依頼を引き受けたものの、何を書いていいのかわからなくなることがあります。書くテーマというか材料が見つからないのです。何を書いてもいいといわれても、僕は文筆家ではないので、何も浮かばない。できれば何も書かないのが、自分に一番ふさわしいというか、話したくないのかな。
話好きの人は一日中しゃべっていても尽きることがないほど、言葉が泉のように湧きでるのかも知れませんが、僕はそんなに話題が豊富な人間でも知識のある人間でもないので、一日中ひと言もしゃべらなくても平気です。...