水原一平「違法賭博問題」 会見した大谷翔平はシロ確定でもアメリカ人が抱く違和感の正体
大谷の脇の甘さ
トロント・スター紙の疑問に、少しだけ答える格好になったのは、YAHOO!SPORTSの報道だろう。3月25日、「大谷翔平の通訳スキャンダル:ドジャースのスター選手が自身の主張を発表するも、依然として残る4つの疑問」との記事を配信した(註2)。
やはりYAHOO!SPORTSも「MLB選手の銀行口座から450万ドルが消えたというのに、なぜ誰も気づかないのだろうか?」と疑問視。だが、記事の途中では解説のような記述もあった。
「記事は『大谷選手と水原氏の関係は、単なる選手と通訳の関係ではない』ことを指摘しました。スポーツ専門サイトが配信した水原氏のインタビュー記事を紹介し、『通訳の仕事は全体の1割』との発言を引用。練習相手、リハビリの監視など『その他の無数の任務』が9割を占めていたことを示し、『無数の任務』の中に大谷選手の金銭管理が含まれていても不思議ではないと示唆したのです」(同・記者)
記事には大谷の母親も登場した。《大谷の新人時代から、彼の母親が家計の管理をしていると報じられてきた。そのため、この選手が金銭に関する判断にあまり関与しなかった可能性は、充分にありそうだ》。
ちなみに日本のメディアからも、大谷の“脇の甘さ”について言及する記事が配信されている。例えば時事通信は3月26日の記事でアメリカの報道を紹介した上で、《自身の金銭管理が甘かった可能性も否定できない》と指摘した(註3)。
アメフト選手の凋落
こうしたアメリカメディアの報道について、外資系企業に勤務する日本人は「私たちの感覚とは正反対とでも言うべき“常識”がアメリカにはあります」と解説する。
「財産管理は他人に委ね、自分は野球に専念するという姿勢は、日本ならヒーロー的なストイシズムとして“カッコいい”という声が出ても不思議ではないでしょう。ところがアメリカは“トップアスリートこそ、財産管理や対外折衝は自分がリーダーシップを取って行うべき”という考えが根強いのです」
そのためトップアスリートは顧問弁護士、広報などを担当するエージェント、会計士、といった各分野のプロを自分で雇用するという。
「大谷さんの会見を見ると、そうした管理のかなりの部分を、水原さんに一任していた可能性があるようです。これにアメリカ人とメディアは違和感を持っており、『通訳がそんな巨額なお金を動かせる状態だったこと自体がおかしい』と思っているんです」(同・外資系企業の日本人)
MLB研究家の友成那智氏は「アメリカのメディアが大谷の金銭管理に注目しているのは、かつてアメフトのプロリーグNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)で発生した、元選手の金銭問題が大きな影響を与えているのです」と言う。
「かつてアメフトの選手は引退すると、保有していた多額の資産を浪費してしまう者が少なくなかったのです。結果として老後に信じられないほど困窮するというケースが多発し、メディアは詳報しました。その結果、資産形成や運用は自分の責任で行い、長い余生を安泰に暮らす基盤を作ることも“トップアスリートの必須条件”になったのです」
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