水原一平「違法賭博問題」 会見した大谷翔平はシロ確定でもアメリカ人が抱く違和感の正体

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「なぜ大谷は気づかなかったのか?」

 報知は「西郷隆盛」的な人物として「土光敏夫」を取り上げた。タイトルにある“清貧の思想”はバブル崩壊後の1992年に刊行された、小説家・中野孝次によるエッセー集のタイトルが由来だ。

 この『清貧の思想』は「モノとカネにふりまわされ、明け暮れする人生は真に幸福なのか?」と問題提起し、「身の丈にあった清楚な生活」を称揚した。書店に並ぶと大きな反響を呼び、ベストセラーとなった。

 日本人は、こうした禁欲主義に強く惹かれる一面を持っている。だが、こうした美意識をアメリカ人はなかなか理解できないらしいのだ。担当記者が言う。

「大谷選手は2月、ドジャースと10年総額7億ドル(約1015億円)の歴史的契約に合意。額も注目されましたが、その大半が後払いという点も話題になりました。日本のメディアは『大谷は金銭に恬淡』という論調で報じ、アメリカ側も似たトーンで伝えながらも、『我々ならあり得ない』というニュアンスもにじませました」

 そして今、元専属通訳である水原一平氏の違法賭博疑惑が浮上している。この問題を巡っても、アメリカのメディアは「大谷の金銭意識」に注目しているようだ。

「複数のアメリカメディアが『450万ドル(約6億7500万円)が失われても、なぜ大谷は気づかなかったのか』という疑問を大々的に報じています。『29歳の社会人が、自分で金銭管理を行っていない』のはおかしいというわけです。実際、アメリカでは『自分の財布は自分で管理する』のが常識です。夫婦でも財布は別という家庭は珍しくありません。給料は妻に渡し、妻から小遣いをもらうサラリーマンなど、想像の範囲外です」(同・記者)

“チーム大谷”の不在

 具体的にアメリカの報道を見てみよう。大谷のFA騒動がピークに達していた時、大谷がブルージェイズに入団するというデマ情報が流れて話題を集めた。ブルージェーズの本拠地はカナダのトロントにあり、地元紙の「トロント・スター」はカナダ最大部数の日刊紙として知られている。

 トロント・スター(電子版)は3月25日、「大谷翔平、ギャンブルとは無関係と断言。しかしながら450万ドルが紛失しても、誰も気づかなかった、とは?」との記事を配信した。(註1)

 同紙は大谷の説明を「証拠を伴っていないので、決定的な回答とは見なせない」としながらも、「説明自体は充分に明確だった」と一定の評価を下した。

 その上で、「なお複数の疑問が残る」と指摘。その中の一つとして「たとえ大谷が裕福であったとしても、なぜ大谷と彼の関係者は450万ドルが失われてしまったと──50万ドルを9回に分けて電信振込を行っており、これはボタンを押すだけの取引ではない──気づかなかったのだろうか?」と首をひねった。

「大谷と彼の関係者」という表記からも分かるように、トロント・スター紙は、大谷が直接、自身をサポートするスタッフを雇っていないことが不思議でならないようだ。「世界最大の野球スターには、エージェントはいなかったのだろうか? 会計士はいなかったのだろうか?」という一文がそれを裏付ける。

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