「不適切にも」“注釈テロップ”がテレビ局の与えた影響…かつて禁止されていたこともあるフレーズとは
3月29日、いよいよ最終回を迎えるドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS)。令和の現代にやって来た昭和のおじさんが“不適切”な発言を連発、放送のたびに様々な話題を振りまいてきたタイムスリップ・コメディーだ。なかでも業界関係者が感心しているのは、あの“注釈テロップ”だという。
***
【実際の写真をみる】「ホントに?」なんと公式が“注意テロップ”をグッズ化していた
「不適切にもほどがある!」(以下「ふてほど」)の初回放送の冒頭、のちにお馴染みとなる注釈テロップは、黒バックの画面一杯に白文字でデカデカと入れられていた。
《この作品には 不適切な台詞や喫煙シーンが含まれていますが 時代による言語表現や文化(中略)の変遷 を描く本ドラマの特性に鑑み、1986年当時の表現をあえて使用して放送します》
民放ディレクターは言う。
「注釈テロップはバラエティ番組では常套手段で、古い映画を放送する際もよく使われます。それをドラマの一部として見せる、しかも、テロップに重要な役割を担わせる手法が画期的でした。プロデューサーの磯山晶さんは『クレームがたくさん来ることを覚悟していたが、テロップのおかげで全く来ていない』とネットメディアのインタビューで話しています。もしテロップがなかったら、多くのクレームが来ていたでしょうね。テロップはクレーム回避に効果を発揮し、同時に笑いにもなる上手い利用方法でした。さすがクドカン(宮藤官九郎)の脚本と評価されています」
そのテロップも第9話ではずいぶん小ぶりになって、映像が流れる画面下にこぢんまりと表示された。
《この主人公は1986年から時空を超えてきたため 現在では不適切な発言を繰り返します》
定番テロップ
「テロップの内容は回を追うごとに微妙に変わっていき、視聴者にはすでに“お約束”となっていたので、それだけで十分なのでしょう。同じテロップを繰り返し使い続けると誰も見なくなってしまいますからね。薬のCMがいい例です」
医薬品のCMについては、厚労省の「医薬品等適正広告基準」という規定に則り、「ピンポーン」の効果音と共に「『使用上の注意』をよく読んでお使いください」といったテロップを入れるよう業界団体がガイドラインを定めた。
「そのテロップがだんだん見られなくなったため、一時は『ピンポン!』の効果音を出演者が口で言うという演出のCMもありましたが、それも見慣れてしまいました。医薬品以外にも《CM上の演出です》《これはCMです》といった断り書きのテロップが入ることもあります。そういった定番のテロップは、CMはもちろん様々なテレビ番組で見られます」
ドラマで定番のテロップといえば、《この物語はフィクションです》《登場した団体・人物・名称等は架空のものです》。
旅番組の温泉シーンでは、《撮影のためバスタオルを使用しています》。
バラエティ番組では、《このあとスタッフが美味しくいただきました》《危険なのでマネしないでください》――なんてのも明らかにクレーム対策だろう。
[1/2ページ]