【ブギウギ】水城アユミは美空ひばりを連想させたが…キーパーソンを架空の人物にする難しさとは

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出色の演技を見せたメッセ黒田

 放送前は話題にならず、伏兵的存在だったが、出色の演技を見せたのがメッセンジャーの黒田有(54)である。役柄は愛助の保護者代わりも兼ねた村山興業東京支社長。スズ子には厳しく、冷たかったが、やがて理解を示し、親身になる。

 故・中島貞夫監督らによると、うまい演技とは「その役柄の人物にしか見えない」ことだが、黒田がまさにそうで、坂口にしか見えなかった。芸能事務所の幹部には坂口のような人がよくいる。

 非の打ちどころのない演技を見せてくれたのはベテラン演劇人・木野花(76)。母親になったあとのスズ子が雇った家政婦・大野晶子を演じた。民放ドラマの大半が若い世代に向けたものであることから、民放にはほとんど登場しないベテランが観られるのも朝ドラの魅力だ。

 スズ子の後年のマネージャー・柴本タケシに扮した三浦りょう太(26)については賛否両論ある。思慮の足りない若者という設定なのでイメージ的に損をしている面もあるが、終戦から10年が過ぎたころの若者に見えないのは確か。役作りにもう一工夫あったほうが良かったかも知れない。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。放送批評懇談会出版編集委員。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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