「桜の花が舞い落ちる木の下で死にたい」――歌人西行が「願いどおりの臨終」を迎えるまで
年を重ねていくにつれ、どのように死を迎えるのかが気になってくる人もいるだろう。なるべく穏やかに逝きたいものだが、こればかりは願いどおりにいくとは限らない。
そのような中で、思い描いたとおりの臨終を遂げたことで有名なのが、平安末期から鎌倉初期にかけて活躍した歌人・西行(1118-1190)である。
西行歌集研究の第一人者・寺澤行忠さんの新刊『西行 歌と旅と人生』(新潮選書)では、西行の示寂のようすが詳しく描かれている。同書から一部を再編集してお届けしよう。...