センバツ、大阪桐蔭に初戦突破も“守備の綻び”が…スカウト陣は「1点を争うゲームでは致命傷になるかも」と不安視

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12試合で18失策を記録

 しかしながら、王者にも“弱点”がある。それは内野陣の守備だ。昨秋の明治神宮大会では1試合で5失策を記録して敗れたこともあり、北海戦はメンバーを入れ替えた。

 昨年秋の公式戦では12試合で18失策を記録。1試合あたりの失策数は1.50であり、これは全出場校の中で4番目に多い(大阪桐蔭より多いチームは、宇治山田商の2.18、京都外大西の1.60、耐久の1.56)。

 その対策の意味もあってか、北海戦は、昨秋とは内野陣のメンバーを入れ替えてきた。にもかかわらず、4回にはサードからファーストにコンバートされたラマル・ギービン・ラタナヤケ(新3年)がタイムリーエラーを記録。最終回にも、サードの守備固めで起用された主将の宮本真司郎(新3年)がエラーを犯している。

 また、3回のセカンドへの内野安打は、記録上でヒットとなったが、ワンバウンドになった送球をラマルが捕球していれば、アウトにできるタイミングだった。記録には残らない守備のミスと言えるだろう。特に、ラマルは今秋のドラフトで指名が有力視される強打者で、注目度が高いだけに、スカウト陣からも不安の声が聞かれた。

「見ていて心臓に良くないですね……」

「(ラマルは)明らかにファーストの守備に慣れていないと思って見ていたら、やはりエラーが出ましたね。サードからのスローイングに難があるということで、ファーストに回したのだと思いますが、現時点では打球が飛ぶたびに心配になるレベルです。見ていて心臓に良くないですね……。他の選手も、シートノックを見ていても動きの良さや肩の強さはあるので、一見すると上手に見えるのですが、そういう部分ばかりに気を取られているのか、丁寧さに欠けるように感じます。1点を争うゲームになった時に、守備のミスが致命傷になるかもしれませんね」(セ・リーグ球団スカウト)

 試合後、ラマルに話を聞くと、ファーストを守るようになってからまだ約1カ月で、試合前から緊張があったという。一般的に一塁手は送球を片手でキャッチするが、ラマルは両手でキャッチしていた。この動きを見ても、ファーストの守備が不慣れな点が垣間見えた。

 当然、西谷監督も守備に課題を抱えている点を理解しており、9回の守備ではラマルをベンチに下げている。だが、サードの守備固めで起用した宮本にも綻びが出た点は何とも気になるところだ。

 二回戦で対戦する神村学園(鹿児島)は、バントを絡めた小技で揺さぶりをかけてくる可能性も高い。大阪桐蔭が今大会を勝ち抜くには、守備面でどれだけ選手が成長できるかが、カギを握りそうだ。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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