「小さい頃から歌って踊ることが好きだった」 #KuToo運動の石川優実が歌手デビュー 楽曲に込めた思いを語る

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最近では性被害も告発

 さらに最近では、準強姦の罪で逮捕された映画監督の榊英雄からの性被害を実名で告発し波紋も呼んだ。

「パンプスの強制化にも通じることでもありますが、結局は権力を使っての悪習なのだと思います。『#MeToo』運動の時も訴えてきたのですが、映画や放送を含む芸能界には性接待や性の強要があるという事実を、一人でも多くの人に知ってもらい問題視すべきだと思いました。ただ、そこで温度差を感じたのは、当たり前に被害者を責める風潮があったことです」

 実際、SNS上では石川の発言に対し誹謗中傷が巻き起こり、論戦が繰り広げられている。最近、「複雑性心的外傷後ストレス障害(PTSD)」と診断され、通院中であることも明かす。

 しかし、そういった中でも仲間たちとの抗議集会や市民運動には参加し続けるという。

「自分なりに社会を良くしたいと思っているんです。別に大きなことを言っているわけではなく、単に差別や性被害のない平和な世の中にしたいだけなんです。でも、批判されると、ついつい私も感情的になっちゃうんですけどね」

 そう苦笑する石川だが、一方で「最近、SNSには限界を感じている」とも。

「もちろんSNSで呟くのも一つの方法なのですが、どこか視野が狭まってしまっているような気がしてならなかったんです。でも、集会などは直接、みんなの顔が見えるし楽しいんです。表現の場として自分に合っていることに気づいたんです。とはいえ、抗議集会とかデモと言うと、どうしても決まった人しか集まらないですからね。関心のない人や馴染みのない人、もちろん警戒する人も多いと思います。ところが、そこで歌ったり踊ったりすると、その場の雰囲気がだんだん和んでいくんです。ピリピリしたムードがなくなっていくというか…、歌ったり踊ったりしていると手拍子しながら楽しんでくれています」

新曲「マテキシダ」も

 社会活動の中に「楽しさを見出すことが出来た」と言い、それが今回の歌手デビューにつながったようだ。「社会的な活動を積極的にしている仲間と一緒に歌いたかった」。当初は、カヲルコの作ってきた作品を中心に歌っていたが、次第に「自分たちのオリジナル曲を作って、歌で思いを伝えよう」ということになり、完成したのが「踊ろう女たち」だった。

 曲は石川が作詞を担当し、カヲルコが曲をつけた。

♪ 悲しい連鎖は終わり 暴力もレイプも終わり わきまえることも もうやめて 手に入れた自由 祝いましょう

 フォーク調のシンプルな作品に仕上がっており、評判も上々だという。

 「昨年のクリスマスイブにレコーディングしたんです。3時間ぐらいあれば出来るかと思ったのですが、納得するものを作りたいと思って何度も録り直していたら6時間もかかってしまいました」

 3月8日の国際女性デーに合わせてレコチョク、アップルミュージック、オリコンなど国内42種の音楽配信サービスで発売を開始した。現在、CDシングルの発売も計画しているそうで「遅くとも4月下旬までには」という。

 また今回は「踊ろう女たち」の他、新曲「マテキシダ」も音楽配信。こちらについて石川は「岸田総理への批判歌です。岸田総理には言いたいことがいっぱいあって……。例えば最近では武器輸出規制を容認したことも一つですが、何か平和な日本が戦争に向かっているようで仕方がないんですね。そこで、元々あったカヲルコさんの曲をカバーさせてもらう形で歌わせてもらうことにしました。もちろんCDにも収録します」

渡邉裕二(わたなべ・ゆうじ)
芸能ジャーナリスト

デイリー新潮編集部

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