女性にありがちな「生理」の誤解 “柔道の道着の白さ”に悩んだ自分に伝えたいこと

ライフ

  • ブックマーク

大人に相談できる環境を

 大人が月経を理解していないと、子どもは悩みを打ち明けられません!

 月経が来てよかったと思えるようになることが月経教育の基本です。そのための最大の秘訣は、大人が月経について正しくかつポジティブなものであることを理解し、相談しやすい関係を築いておくことです。

 経験に基づいた個人的な実感ですが、好成績を残すトップアスリートほど、月経についてしっかりと理解しており、何か問題があればすぐに専門家に相談するなど、上手に付き合うことができているように感じます。トップアスリートは、周囲に理解がある専門家が多く、オープンに相談できる環境にアクセスしやすいという面も関係していると思います。

 一方、部活や地域のクラブ、サークルなどで活動する子ども、大学生の中には、月経についてなかなか周囲に相談しづらく、痛みがあっても誰にも言わずに我慢したり、悩みを抱え込んだりしているケースも多々あります。私が講演や指導などでたまたま訪問し、専門家だと知ると、一気に不安を吐露する子も少なくありません。しかし、本来望ましいのは、子どもが気軽に周囲の大人に相談できるという環境です。

 特に、「我慢が美徳」「(無理をしても)頑張る気持ちが大事」という価値観をもつ大人には、「言わないほうがよい」「弱音を吐くと叱られる」と考え、子どもはなかなか言い出せなくなっているようです。

 月経について相談できる、理解を示してくれる、改善の方法を示してくれる大人が一人いるだけで、子どもはとても安心できます。本書をお読みの大人の方は、ぜひ、そのような存在を目指していただけると、とても嬉しいです。

鈴木なつ未(すずき なつみ)
拓殖大学国際学部准教授。筑波大学大学院人間総合科学研究科スポーツ医学専攻修了。博士(スポーツ医学)。(独)日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター、筑波大学 Research & Developmentコア、(公財)日本スポーツ協会で研究員として、長年にわたりトップアスリートのコンディショニングに関する研究やサポート等に従事。2021年に拓殖大学へ。(公財)日本オリンピック委員会強化スタッフ、(公財)日本スケート連盟スピードスケート科学スタッフ、(公財)全日本柔道連盟科学研究部員等を務め、2008年北京、2012年ロンドン五輪では、スタッフとして現地で活動。ジュニアからトップまで、これまで数多くの女性アスリートの月経に関するサポート活動をおこなってきた。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。