プロ野球選手からアパホテル営業マンへ転身…元ヤクルト・川本良平さんが明かす「異例の名刺」と「ドライヤー」の秘密
プロ野球選手から、ホテルマンへの転身
きっかけはマリーンズ時代のチームメイトである角中勝也だった。彼の後援会長とも交流があったことから、角中の激励会にサプライズゲストとして招かれた。この場で知り合ったのが、アパホテルの専務・元谷拓だった。
「このとき、専務の秘書がすごくテキパキと動いている姿を見て、アパホテルに好印象を持ちました。本来なら、それで終わるところなんですけど、2日後に専務から“アパに興味はないですか?”と連絡をもらいました。まったく予想外の出来事だったけど、話を聞いているうちに“熱心に誘われているうちが華だな。ホテル業界に飛び込んでみようかな”という気持ちになっていきました」
そこからはとんとん拍子に進んだ。元谷専務の管轄下である法人営業部に配属され、入社2日後には上司とともに法人営業を始めることになった。引退直後だということもあり、「あの川本さんですか?」と声をかけられることも多かった。
「プロ野球の世界で12年間も過ごすことができたことはとても大きかったです。専務もその点は理解していて、“自分のプロフィールはしっかりとアピールした方がいい”と言ってくれました。僕の名刺を見ていただければわかると思いますが…」
川本の言葉を受け、先ほど交換した名刺を手に取ると、裏には詳細なプロフィールが列記されていた。
「アパホテルで、名刺の裏にプロフィールを記してあるのはCEOと専務、そして僕だけなんです。一社員としては異例中の異例なんです(笑)」
入社直後は「名刺の渡し方、受け取り方がわからずに困った」と川本は笑う。内勤の際には「電話に出ることがすごくイヤだった」と口にした。しかし、「元プロ野球選手」という経歴は、川本にとって大きな力をもたらしていた。
「僕の場合は《元プロ野球選手》という経歴が、すごく役に立っています。経営者交流会では、野球好きのキーパーソンを10人くらいご招待して、僕が解説しながら野球を見るイベントをやってすごく楽しい時間を過ごすこともできました。このキャリアが足かせになったことは一度もないですし、プラスしかないですね」
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