他球団は警戒も…崖っぷち巨人「松原聖弥」は外野レギュラー争いで生き残れるか
苦手な球種がない
「厄介なヤツが帰ってきた」
【写真を見る】好調の松原と外野手争いをする丸。選手を見守る亀井コーチ(読売ジャイアンツの公式Instagramより)
オープン戦も終盤に差し掛かり、各球場のネット裏ではライバルチームのデータを収集するスコアラーたちの姿も目立つようになってきた。中でもセ・リーグのスコアラーたちが巨人戦を見てよく口にしていたのが、このセリフだ。
阿部巨人に対し、セ・リーグのチームは「意外な伏兵」に警戒を強めている。プロ8年目、復活を目指す松原聖弥(29)だ。
「昨季は21試合で13打席にしか立てず、ノーヒットに終わってしまいました。一昨年も50試合にしか出場していません」(スポーツ紙記者)
松原は21年にキャリアハイの135試合に出場した。最大の武器である俊足を活かし、リードオフマンとしてもレギュラーを掴みかけたように見えたが、22年以降は打撃不振に喘いできた。
「キャンプ序盤から『今年はやってくれそう』と松原に期待する声が多く聞かれました。昨年の秋季キャンプでもかなりバットを振っており、亀井善行・外野守備兼走塁コーチ(41)が付きっ切りで教えることもありました」(前出・同)
亀井コーチと言えば、21年の引退セレモニーの挨拶が語り草になっている。何人か後輩たちの名前をあげてメッセージを送ったのである。
「(吉川)尚輝、ポジティブに頑張れよ。(松原)聖弥、あんたは天才だからもうちょっとだけ頭使っていけよ。きしやん(岸田行倫)、お疲れ。(坂本)勇人、あとは任した。3000本目指して頑張ってください」
松原は、いったんは亀井コーチの付けていた背番号9を継承したが、不振のため、もとの59に戻している。まさに今季がラストチャンスといった雰囲気だが、3月17日の日本ハムとのオープン戦ではタイムリーヒットも放ち、オープン戦の打撃成績も22打数8安打、打率3割6分4厘と結果を出している。しかし、現状では開幕戦のスターティングオーダーに松原の名前があるかどうか――微妙な状況だという。
そもそも、他球団が松原を警戒する理由は「走塁」だけではなかった。
「内角球、外角球の投球コース、真っ直ぐと変化球の球種…特に苦手なものがないんです。配球が難しくなるうえに足も速いから、出塁させると攻撃の作戦レパートリーも増えてしまう。だから、アイツ(松原)が元気だと、巨人戦はさらに警戒を強めなければなりません」(ライバル球団スコアラー)
もっとも、巨人サイドの評価は異なる。「長所は短所に転じる」という典型だろう。こんな指摘もあった。
「何でもかんでも打ちに行くところがある。見送れば、ボールなのに…」(チーム関係者)
熾烈な外野手争いで見えてきたもの
松原の開幕スタメン当落の可否は、こうした評価のせいだけではない。今季の巨人は外野のレギュラー候補が多すぎるのだ。
3月9日のオリックス戦以降、丸佳浩(34)もスタメン出場する機会が多くなってきた。梶谷隆幸(35)も一軍に合流した。一時期、二岡智宏ヘッドコーチ(47)が「開幕2番」での起用を示唆した打撃好調のオコエ瑠偉(26)もファーム落ちさせるほど激しい競争が続いている。3月13、14日の福岡ソフトバンクとの試合前では、萩尾匡也(23)は一塁でのシートノックを受けていた。そんな中、松原は17日の北海道日本ハム戦でタイムリーヒットを放った。首脳陣への大きなアピールになったはずだ。
「14日のソフトバンク戦前のシートノックでした。松原はセンターでノックを受けていましたが、川相昌弘内野守備コーチ(59)が『やり直し』を命じました。バックホーム返球をし、各選手がベンチに上がっていく場面でしたが、松原の返球が少し右に逸れていたんです。捕手が捕れないほどではなかったのですが、この日の松原は三塁返球の場面でも右に逸れていました」(前出・スポーツ紙記者)
この外野手のサバイバルレースが過熱している背景は、新外国人選手のルーグネッド・オドーア(30)の参入もある。メジャー通算178発、レンジャーズ時代の16年にキャリアハイとなる33本塁打を放ったが、近年は大きく成績を落としている。10年のメジャーリーグ生活で1045個の三振も記録していて、本職は二塁だ。外野守備の経験は昨季、9試合のみ。そのため当初は「外野で起用するのは難しいのではないか」と悲観的な声のほうが多かった。
「実際、外野を守らせると、試合前にライトのファールゾーンのフェンス位置や、クッションボールの跳ね返る向きとその強さを細かくチェックしています。そうした姿勢を巨人首脳陣も評価しています」(前出・同)
前出のライバル球団スコアラーもこう続ける。
「打撃フォームも少し変えたようです。パワー系の振り回すタイプだとは聞いていましたが、日本ハムとのオープン戦を見た限りではボールに逆らわず、外角球をレフト方向に流そうとしていました。対戦した日本ハムの加藤貴之(31)はストライクカウントを先行させようとするピッチャーなので、甘いボールが行ってしまったかもしれません。とはいえ、前評判以上に良いバッターなのは間違いありません」
推定年俸は2億円。大金をはたいて獲得したので、オドーアの開幕スタメンは「確定」というのが、大方の見方である。
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