芸人初のテレビ司会をつとめた萩本欽一 意外と知られていない“革命的な功績”とは何か

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香取慎吾は「すごい宝物」

 また、萩本は共演するタレントを選ぶ際にも独自の基準を持っていた。素人と同じように、自然な反応ができるような人材も積極的に起用した。いわゆる「天然キャラ」と呼ばれるような人を番組に引っ張り出して、話を振り、ツッコミをいれることでその個性を引き出していった。

「仮装大賞」で共に司会を務めている香取も、萩本に見いだされた人物の1人だ。1994年に始まった「よ!大将みっけ」(フジテレビ系)という番組で、萩本は香取と初めて共演して、その才能に惚れ込んだ。そして、番組の打ち上げではスタッフの前で「この番組は終わってしまうけど、すごい宝物を見つけた。慎吾は見栄晴を超えました」と語ったという。

 SMAPが解散して、香取が事務所を移籍した際には「仮装大賞」の存続も危ぶまれていた。しかし、結果的には番組は残り、香取の出演も継続することになった。おそらく、ここにも萩本の意向が反映されていると考えられる。「仮装大賞」は、萩本と香取の絆で成り立っている番組なのだ。

 今回の「仮装大賞」は、ビデオリサーチが発表する「週間高視聴率番組(個人全体)」でも3位にランクインして、高視聴率を記録した。「視聴率100%男」の栄光の歴史はまだ終わっていない。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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