100歳超でファッションリーダー ”世界最高齢のティーンエイジャー”アイリス・アプフェルさんの独創的な生涯

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“世界最高齢のティーンエイジャーよ”

 ファッションデザイナーではないのにファッション界のスターになったのは異例。絶賛されても、自分流なだけと言う。高いものばかり身に着けるのではなく、アクセサリーの多くは数ドル、それも値切っていた。

 自分のファッションが他人にどう見えるかを気にして多くの人が疲れている、皆と同じに見えるのは嫌なのに一方ではそうしなければとも感じて混乱している、と核心を突く力があった。ドキュメンタリー映画も作られ、さらに関心を集める。「アイリス・アプフェル!94歳のニューヨーカー」として日本では16年に公開。

 映画評論家の北川れい子さんは思い出す。

「人と同じように考える必要はないとの思いが、ファッションに不案内な層にも伝わり話題作となりました」

 美人ではないから自分のスタイルを持ちたいと実直に働いた。夫は15年に先立つ。仕事と両立は難しいと夫婦は子供を望まなかった。

 唯一無二のスタイルは人々の心をつかみ、最後までモデルなどで活躍した。

 3月1日、102歳で逝去。前日も変わりなく、先に撮影の予定も入っていた。

 年齢のことを言われると、“世界最高齢のティーンエイジャーよ”と笑顔で返すユーモアと意欲があった。

週刊新潮 2024年3月21日号掲載

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