「物質である以上やがて消滅する」 横尾忠則が考える「墓」

  • ブックマーク

 横尾家の墓は郷里の兵庫県西脇市の、広大な墓地の真中辺りにあります。多分両親が僕の生まれるずっと前、僕が横尾家に養子に行く前に造ったんじゃないかと思います。まだ僕が子供の頃ですが、盆や命日になると墓掃除を兼ねて、両親とよく墓参した記憶があります。

 石柱で囲まれた8畳ぐらいある敷地に、墓標が何基か立っていました。そしていつも不思議に思ったのは父と母の名を刻んだ墓標があることでしたが、ある日父が小さい子供の僕に、自分達が死んでも、墓石を造らなくてもいいように建てたとも言っていました。...

つづきを読む