メッツ「藤浪晋太郎」は開幕ロースター漏れ確実 ノーコン以外で見えてきた不安要素
開幕ブルペンに藤浪はいない?
ニューヨーク・メッツは3月28日(現地時間)、本拠地のシティ・フィールドで開幕戦を迎える。チーム編成のトップであるデビッド・スターンズ氏が地元メディアに話したところでは、開幕ベンチ入りメンバー26人のうち、ブルペンは8人の登録を予定しているという。
【写真を見る】藤浪の女房役、アルバレスは今季も大活躍の兆しが(ニューヨーク・メッツの公式Instagramより)
「その8人のなかに、藤浪晋太郎(29)が入る可能性はかなり低いです」(地元メディア関係者)
オープン戦も後半戦に差し掛かってきたころから、「開幕ロースター漏れ」の可能性が報じられてきた。現地時間3月16日、球団公式サイトも「藤浪は厳しい」と伝えた。公式サイトで言われた以上、「8人枠に入る確率はほぼゼロに等しくなった、そう解釈しても良いでしょう」(前出・同)。
とはいえ、クローザーのエドウィン・ディアス(30)がまだ万全ではない今、メッツブルペン陣でもっとも速い直球を投げているのは、藤浪だ。
昨年オフに大量補強されたメッツブルペン陣は「寄せ集め」と揶揄されたほど。ビッグネームのリリーバーは獲得されず、キャンプ前には「(編成本部長のデビッド・)スターンズがお得意の『ローコスト・ハイリターン』を狙ったんだ」(メッツメラルド・オンライン/3月5日)と、悲観的に報じられていた。
「スターンズ編成本部長は昨年11月、チーム再建を託されてメッツにやってきました。アストロズのGM補佐、ブルワーズGMなどを歴任し、無名選手や低年俸の控え選手を獲って活躍させる手法で知られていますが、失敗したシーズンもあり、『ローコスト・ハイリターン』という言葉は、皮肉として使われるほうが多いです」(米国人ライター)
21日(日本時間22日)、タイガースとのオープン戦で6日ぶりに登板した藤浪だが、1回1安打2三振も、二つの暴投で1点を許している。
投手担当コーチの笑顔の意味
藤浪への期待感や「開幕ロースター漏れ」に異議を唱える声がほぼ完全に消えたのは、15日のナショナルズとのオープン戦後である。4四死球3暴投と大荒れで、アウトカウントが一つも奪えないまま3失点でマウンドを降りた。防御率も13.50まで悪化した。
「この試合の捕手は、堅守強肩のフランシスコ・アルバレス(22)でした。リーグを代表するまでに育った好捕手が後ろに逸らしてしまいました。藤浪の制球難は有名ですが、アルバレスが捕れないほどでしたから、ファンの印象も悪かったです」(前出・同)
交代が告げられる直前、投手担当のジェレミー・ヘフナコーチがマウンドに向かっている。同コーチは、最初は腕組みをしていたが、途中から笑顔で藤浪を励ました。前出の米国人ライターによれば、担当コーチが失敗した選手と対峙するときに見せる笑顔は、一般的に「マイナー降格のシグナル」と言われている。
現状では、藤浪はマイナースタートと見て間違いないだろう。同時にこんな指摘も聞かれた。
「藤浪はニューヨーク・メディアの本当の怖さをまだ知らないのだと思います。ニューヨーク・メディアが辛口なのは聞かされていたはず。警戒したほうがいいでしょう」(前出・現地記者)
このナショナルズ戦の前日、藤浪はニューヨークの専門テレビ局SNYのインタビューを受けている。同局はメッツやヤンキース、ニューヨークに本拠地を置くNFLのジェッツなどを応援しているが、「藤浪がブルペン枠8人に残れない」との予想記事を報じている。インタビューでは、そのことをぶつけている。だが、藤浪はこう応じた。
「ロースター入りですか? 自信も何もないですけど。評価してくれるかしてくれないかは、自分が決めることじゃないので。考えたことないです」
あくまでも「自分では決められないことだから」と言いたかったのだろう。しかし、SNY局側には「ヘンな質問をしないでくれ」と言い返されたと解釈する向きもあったという。「ファンのために頑張りたい、開幕ロースターに残って自分もチームに尽くしたい」と答えるのが“百点満点の回答”だったそうだ。
古巣・阪神の関係者がこう続ける。
「藤浪は学生時代から学業も優秀で頭の回転がよかった。インタビューを受けるとき、記者が何かひと言振ると、2つ先の質問まで察している感じでした。自分を客観的に語るような感じが印象的でした」
SNYへの回答には他意はなかったはずだが、開幕前にニューヨーク・メディアを敵に回してしまった可能性は高い。そのSNY局は、大炎上したナショナルズ戦の2日前に行われたアストロズ戦も中継している。藤浪は1イニングを三者凡退に封じ込めたが、実況アナウンサーは、
「FUJI(藤浪)が投げた12球中、ストライクは8球を数えたゾ!」
と、絶叫していた。繰り返しになるが、藤浪の制球難は全米の野球ファンに知れ渡っている。この日の好投を面白おかしく伝えたのかもしれない。また、オープン戦2試合目のタイガース戦(10日)でのことだ。3分の2イニングを投げ、3安打2失点(自責1)、敗戦投手にもなっている。登板が告げられた直後、
「FUJIYAMA、ソーリー。FUJIだった。FUJINAMIは評価が難しいな、前回(7日)は好投したんだけど」
と、同じアナウンサーがボヤいていた。メッツに限ったことではないが、実況アナウンサーはシーズンを通して同じチームを担当する。そのため、名前と顔、背番号を完全に一致させているので、故意に名前を間違えたのだろう。
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