センバツ初戦突破!健大高崎が誇る“司令塔”箱山遥人の凄み “機動破壊”から方針を転換
「選手の入り口と出口が重要」
関東で力のある高校はどこかという話になった時に、近年漏れることなく名前が挙がるのが、健大高崎(群馬)だ。2002年の創部ながら今大会が春夏合わせて10度目の甲子園出場(※2020年春は新型コロナウイルス感染拡大の影響で大会中止)であり、これまでに9人のプロ野球選手も輩出している。【西尾典文/野球ライター】
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その強さの大きな要因は、スカウティングだ。エースとして活躍している佐藤龍月(新2年)は、東京城南ボーイズ時代から評判のサウスポーで、全国の強豪からの誘いがあった中で健大高崎を選択している。佐藤以外にも中学時代に関係者の間で名前が知られていた選手が揃い、関東以外から進学してくるケースも多い。
では、なぜポテンシャルの高い選手の多くが健大高崎を選ぶのだろうか。まず要因として大きいのが、卒業後の進路の強さだ。東京六大学のうち、現在健大高崎のOBが所属している大学は早稲田大、明治大、立教大、法政大の4校におよび、他にも筑波大、中央大などへの進学実績もある。チームを指揮する青柳博文監督は「選手の入り口(スカウティング)と出口(進学先)が重要」と常々話しているが、その積み重ねが実を結んでいる。
もう一つ挙げられる点が、設備面と指導スタッフの充実ぶりにある。野球部専用グラウンドや室内練習場はもちろん、最新のトレーニング機器を揃えており、選手の寮も過去に社会人の女子ソフトボールチームが使っていた施設であり、高校生の寮としてはかなり立派なものである。また監督、部長以外にも多くのコーチやトレーナーが指導に携わっており、レベルアップできる環境が揃っているのだ。そういう面も健大高崎を選ぶ決め手の1つになっている。
チームの大黒柱は“不動の正捕手”
しかし力のある選手を揃えただけで勝てるほど高校野球は甘いものではない。かつてのチームは“機動破壊”というキャッチフレーズを掲げ、足を使った攻撃で相手をかき回す野球が特徴だったが、ライバルチームに研究されたこともあって数年前に方針転換し、走塁以外の面もレベルアップを図ってきたという。
そして、3月19日に迎えた選抜高校野球の初戦、学法石川(福島)戦で、その成果を見せることになる。
試合は5回まで両チーム無得点という重苦しい展開だった。6回に相手投手の暴投で先制すると、続く7回には3本のタイムリーで3点を追加する。守ってはエースの佐藤が7回を被安打2、無失点の好投。8回からリリーフした石垣元気(新2年)も2回を0点に抑え、終わってみれば、4対0という危なげないスコアで勝利を飾った。
今年の大黒柱は、旧チームから“不動の正捕手”を任されているキャプテンの箱山遥人(新3年)だ。この日も1回にワンアウト一塁の場面での送りバントを素早く処理して一塁走者を二塁で封殺し、ピンチを未然に防いだ。
バッティングは、会心の当たりは出なかったものの、第4打席で貴重な追加点となるタイムリーヒットをレフト前にしぶとく運び、4番としての役割を果たしている。
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