北朝鮮戦 森保監督は意外と頑固…アジア杯の戦犯を積極的に起用した狙いは何か
指示待ちの選手たち
元々、韓国がロングボールと屈強なFWによる空中戦で勝負するスタイルに対し、北朝鮮はショートパスをつないで崩すのが得意なチームであり伝統でもある。日本のプレスを簡単に外してボールを運び、サイド攻撃を仕掛けて来る。2分には同点ゴールかと思われたが、これはその前に反則があったということで取り消され、日本は命拾いした。
森保監督が動いたのは後半29分のこと。南野に代えてFW浅野拓磨、堂安に代えてCB谷口彰悟、菅原に代えて右SB橋岡大樹を投入し、4-2-3-1から5-4-1の布陣にシフト。「相手に押し込まれる、圧力を受ける展開になっていたので、さらに押し込まれてはいけないのでフレッシュな選手を入れて守備を安定したことからカウンターを狙おうと、拓磨(浅野)のスピードを生かそうとした」と狙いを説明した。
森保監督の、選手交代によるメッセージはきわめてシンプル。「このまま1-0で逃げ切れ。チャンスがあればカウンターから追加点」というもの。ただし、それは森保監督が選手交代でメッセージを送らなくても、後半開始直後から北朝鮮の圧力に押され気味だっただけに、それをピッチ上で、肌で感じている選手たちが互いに“阿吽の呼吸”で自己判断できなかったことがもどかしい。海外のビッグクラブでプレーし、多くの修羅場をくぐっている選手ならできるだろうと思ってしまうのは期待しすぎだろうか。
難しい南野の評価
ともあれ試合は日本の狙い通り1-0の勝利を収めた。アジアカップを振り返り、森保監督は「彩艶とDF陣にとって自信につながる勝利。(カタールW杯のDF陣は経験豊富だったが、今回のDF陣はアジアカップの)厳しい経験をして成長しているな」と評価した。
その言葉通り、菅原はファイトしたし、板倉も試合をコントロールして、鈴木は無失点で試合を終えた。伊藤は無難な出来に終始し、守田は球離れの遅さが気になったものの致命傷にはならずに試合をコントロールした。難しいのは南野で、堂安へのスルーパスは見事だったものの、それ以外で攻撃のアクセントになっていたかというと、ボールに触れる回数が少ないのが気になった。
攻守にハードワークするタイプではないが、もう少し試合に絡んでくれないと1トップのFW上田綺世も距離感をつかみにくいのではないだろうか。彼の良さを引き出すためには誰と組ませたらいいのか、これはこれで個人的に楽しい課題でもある。
さて森保ジャパンは22日には26日のアウェーのため早朝の便で移動する予定だったが、森保監督の記者会見を待つ間に「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の患者増で北朝鮮が感染拡大を防ぐため日本代表の入国を拒否。田嶋幸三JFA会長も試合後に国立での囲み取材で北朝鮮から26日の試合の日本開催を打診されたが拒否したとのニュースがネットで広まった。
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