「子供から悪い話は聞かない」所属力士の保護者が明かす 協会から“イジめられている”宮城野親方を擁護する声

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他の不祥事と比較すると…

 これまでの不祥事と比べても、協会の処分が厳しいという声は根強い。

 昨年5月、本誌が報じたことで表面化した陸奥(みちのく)部屋の暴行隠蔽問題では、元大関・霧島の陸奥親方(64)は減俸に処されたが、これは協会の7段階ある処分の中で2番目に軽いもの。八角理事長に見いだされて就いた協会ナンバー2の事業部長は辞したが、理事の座にはとどまり続けており、変わらず部屋で指導にあたっている。その扱いの差は歴然だ。

 再び横野氏に聞くと、

「暴力による死亡事件を起こした時津風部屋でさえ、協会は親方と加害力士は解雇処分にしたものの、部屋自体の閉鎖はなかった。協会関係者らに取材しても、部屋閉鎖までの処分は行き過ぎとの声も多かった」

「いい人だし、子供からも悪い話は聞かない」

 そのしわ寄せは、将来を担う若手力士たちにいくとして、横野氏はこう嘆く。

「多くの弟子たちは、その師匠に人生を託して入門しています。いきなり他の部屋に移籍し、別の師匠にと言われても混乱します。移籍先となる部屋の力士たちにとっても、関取候補の多くいる宮城野部屋の力士が来ることは、環境が激変し決して歓迎できるものではありません。ましてや、宮城野親方と弟子がバラバラになる案もあり“力士ファースト”ではない。誰も幸せにならない部屋の合併はもっと慎重に判断すべき事柄ではないでしょうか」

 実際にわが子を宮城野部屋に預けた保護者の一人に尋ねたところ、

「部屋がなくなると聞いて困惑しています。宮城野親方に指導してもらいたくて、宮城野部屋が好きだからと、わざわざ弟子入りした子もいるんです。そういう若い子たちの気持ちはどうなってしまうのか。協会は部屋の力士たちの声もくんでほしい」

 別の保護者に尋ねても、

「宮城野親方は本当にいい人だし、子供からも悪い話は聞かない。もし部屋がなくなるとなったら、親方に憧れて角界入りした弟子たちも辞めると思いますし、親としても相撲界から抜けさせるつもりだよ」
 
 後編では、協会が宮城野親方を徹底的に追い込む理由に迫る。

週刊新潮 2024年3月21日号掲載

特集「「相撲協会“速攻”で『宮城野部屋』閉鎖へ 土俵際に追い込まれた『白鵬』の“秘策”」より

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