「子供から悪い話は聞かない」所属力士の保護者が明かす 協会から“イジめられている”宮城野親方を擁護する声
「理事長への道も絶たれた格好」
元白鵬の宮城野親方(39)問題で揺れる日本相撲協会。協会の処分があまりにも厳しいとの声も上がる中、宮城野部屋に所属する力士の保護者からは、宮城野親方を擁護する声が。後編では協会が宮城野親方を徹底的に追い込んでいる理由に迫るが、前編では保護者らの声を紹介する。【前後編の前編】
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【写真を見る】「殺虫剤のスプレーに点火した炎で弟弟子の体を」 非道なイジメで処分された北青鵬
39歳の誕生日を春場所が開かれている大阪で迎えた宮城野親方(元横綱・白鵬)は、どんな思いで土俵を見つめていたのか。
彼の誕生日、3月11日は春場所の2日目。見事に“連勝発進”を成し遂げた宮城野部屋所属の西十両13枚目・伯桜鵬(20)は、
「勝つこと、結果を出すことが恩返しだと思うので、(宮城野親方の)誕生日というのもありますが、勝ったことは良かった」
と語り、騒動の渦中にある師匠を慕う気持ちを隠さなかった。
好調な愛弟子とは対照的に、宮城野親方の立場は大きく揺らいでいる。八角理事長(60)率いる日本相撲協会から厳しい処分を下され、“土俵際”に追い込まれている格好なのだ。
宮城野部屋で起きた幕内力士・北青鵬(22)による弟弟子たちへの暴行問題で、先月下旬に協会は「弟子の監督責任」と「協会への報告義務」を怠ったとして、宮城野親方に協会の委員からヒラの年寄へ2階級降格、および減俸の処分を下した。
それだけではない。今後は手塩にかけた弟子もろとも部屋自体が、所属する伊勢ケ浜一門の預かりとなり、「宮城野部屋閉鎖」が現実味を帯びつつある。
相撲担当記者が言う。
「春場所初日、伊勢ケ浜一門が協会に対して、4月以降は宮城野親方と弟子らを別々の部屋預かりとする可能性も含め、今後について協議したことを報告したのです。それに沿った形で協会も検討を進める腹積もりですから、平成の大横綱が自らの部屋を持たず後進の育成ができないとなれば、角界での存在感が低下することは避けられません。本人が夢見ていた協会理事から理事長へのし上がる道も、実質的に絶たれた格好です」
「過去の事例との整合性が合わず重すぎる処分」
本誌(「週刊新潮」24年2月1日号)は、1月場所途中で北青鵬が休場した背景に「素行問題」があるといち早く報じたが、ここにきて協会は一気に宮城野親方を“角界追放”する方向へと舵を切ったのである。
「今場所もこれまで通り宮城野親方は記者クラブ担当としての仕事をこなし、記者からの質問にも丁寧に答えてくれていますが、いつもより声にため息がまじることが多く、普段の元気はありませんね……」
そう明かすのは、春場所を取材する相撲レポーターの横野レイコ氏だ。
「平成になって以降、部屋が閉鎖されたのは、暴力団関係者と親方のつながりが問題視された木瀬部屋と、親方が弟子に暴力を振るった中川部屋の二つ。どちらも親方自身が起こした不祥事でしたが、今回は弟子が起こした暴力による監督責任。もちろん北青鵬の起こした暴力は許されるものではありませんし、宮城野親方が北青鵬の暴力を黙認し、協会に報告せず、協会の調査にも隠蔽(いんぺい)工作をしたことを重く見ての処分として2階級降格と減俸は妥当だと思いますが、そこに部屋の閉鎖まで加わるのは、過去の事例との整合性も合わず重すぎる処分だと思います」
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