「こたつ記事」「見ていないアンチ」に振り回され… 「ふてほど」が描くテレビ業界の深刻な悩み
一度の過ちを許さない正義感による“アンチ”との闘い
第8話(3月15日放送)では、不倫を週刊誌に報道され、SNSで“アンチ”からの猛烈な攻撃にさらされた入社7年目のイケメン人気アナ・倉持猛(小関裕太)が、テレビに復帰しようともがく場面が出てくる。“みそぎ期間”を終え、さりげなく復帰した彼に対するSNS上のアンチの声がたとえ「2件」であっても、それがネットニュースで取り上げられると「大多数の声」として扱われ、社会全体の空気のようになり復帰を阻まれる……。こうした「たった2件」を「大多数の声」にするのが「こたつ記事」の存在だ。
こたつ記事とは、テレビ番組やSNSなどでの著名人のコメントの一部を切り取って作る記事を主に指す。テレビの前でこたつに入っていても書けることから「こたつ記事」と呼ばれている。ネットが発達する以前ならば、現場に赴いて当事者や現場を取材したはずだが、そうした取材をしないで「こたつ」で書くという、批判的なニュアンスが含まれている。
SNSでの反応を怖がり、倉持アナのテレビ復帰に慎重なリスクマネジメント部に市郎はかけあう。
(市郎)
「何が? (民放のテレビは)タダなんだから、見たくないヤツは見なくて結構! それぐらい強気の姿勢でいいじゃない?」
ここで「ふてほど」でおなじみの「あくまで個人の見解です」とテロップが入る。市郎の提言もあって、倉持アナは朝の情報番組のお天気コーナーで一度だけ復帰する。
案の定、SNSには否定的な反応があったが2件だけ。市郎の孫であることが判明したプロデューサーの犬島渚が「こたつ記事」が生まれる流れを解説していた。
まず、SNSの書き込みを「朝っぱらタイム(※番組名)」で検索したであろうウェブライターが見つけ、それを元に「こたつ記事・その1」を書くという。
(こたつ記事・その1)
「女性アスリートと不倫騒動後、表舞台から消えていた倉持猛アナが3年ぶりに朝の情報番組に出演した」
(渚)「この薄っぺらい記事をコピペした投稿がSNSで拡散され、これを抜粋して、ウェブライターが『こたつ記事・その2』を書く…」
(こたつ記事・その2)
「不倫アナ突然の復帰に世間は戸惑いを隠せない 『倉持イケメン』など、好意的な書き込みがある一方『不倫野郎の顔見て朝から不愉快』にゃどの意見もみりゃれ」
実際にネット記事では(なども→にゃども)(見られ→みりゃれ)などの打ち間違いも頻発していることをクドカンは揶揄している。
渚は、こうして作られた「こたつ記事・その2」のコメント欄の「復帰、はやくなぁい?」には、2万7000人もの共感が寄せられると解説する。「私は見てないけど不快すぎる」「そもそも見てないけど、倉持が出るなら今後一切見ない。見てないけど」「私もサレ妻です、夫の不倫相手も人妻。許せません。番組は見てません」といった意見だ。
この回では、不倫をしたアナが復帰しようとしてもなかなか許されない現状を踏まえ、スポンサー企業と局内の「忖度批判」に配慮する管理職などが登場し、「世間」と闘う構図を描いていた。
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