駐禁の黄色紙に「違反金の納付を命ぜられることがあります」との記述が…この微妙な表現をどう理解すべきか 弁護士の解説

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弁護士も知らなかった事実

 つまり、“反則金”はどのみち支払わなければならないものの、運転者として出頭したら交通違反の点数が引かれるが、出頭しなければ引かれないということのよう。ありていに言うと「正直に出頭すれば、損をする。しなければ得をする」。

 妙だなー。馬場さんの書く「使用者(多くの場合は所有者)」と「運転者」の違いが、私にはよく分からなかった。こういう場合は、電話で教えてもらうに限る。馬場さんに電話した。開口一番、

「さすが法律の専門家、よくご存じなんですね」

 と申し上げたところ、

「それがー。弁護士としての知識ではなく、私も一昨年、駐禁をやったので、個人的に調べて初めて知ったんです(笑)」

 こうしたことはほとんど周知されてはいないと言って過言ではなさそうだ。

警視庁に疑問を投げかけてみる

 閑話休題、「使用者、所有者、運転者」の違いについて問うと、「確かに分かりにくいですが、車検証の記載を見てみてください」とのこと。

 自分の車検証を引っ張り出す。「所有者」欄には私の名前、使用者欄には「***」とある。これは、所有者と使用者が同じという意味で、ローン返済の途中だったりすると所有者欄がディーラーや信販会社名の場合が多いという。使用者とは、「車を維持管理し、使用する人」で、駐車禁止の運転者と同じとは限らない――と理解はできた。

「昔は運転者だけしか罰せられませんでしたが、運転者が確定できないケースが多く、2006年の道路交通法改正によって、使用者の責任も問われるようになったわけです」と馬場さん。

 なるほど、であるが、「運転者なら点数が引かれ、使用者なら点数が引かれない問題」が、腑に落ちない。よし、警視庁に疑問を投げかけよう。

 電話すると、駐車対策課に回された。

「運転者に課されるのは『反則金』、使用者に課されるのは『放置違反金』だからです」

 点数は反則金に紐づくが、放置違反には紐づかないから、とのことだ。

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