武田真一アナが参入して1年、テレ朝は絶好調も…視聴率から読み解く「朝の情報番組」最新事情

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昭和と今、MCの「大きな違い」とは

 内容と同じく朝の情報番組の視聴率に大きく関わるのはMCだ。「MCなんて誰がやったって同じ」という声もあるが、それは違う。信頼される人、好かれる人は確実に存在し、視聴者は無意識のうちにそのMCの番組にチャンネルを合わせる。

 新聞と同じである。たとえ書いてあるニュースがほぼ一緒であろうが、人は自然と信頼する新聞、好きな新聞を選ぶ。

 昭和期の情報番組のMCと現在のMCでは大きな違いがある。フジ「小川宏ショー」(1965~82年)の故・小川宏さんらはほかの仕事をやらなかった。MCが取材に行ったり、対談をしたりすることが多かったためだが、番組専属となることによって、視聴者との距離感を縮める狙いもあった。

 今は逆にMCがほかの仕事をやり、その仕事で得たものを情報番組にフィードバックする。

 羽鳥慎一アナの場合、日本テレビ「ぐるぐるナインティナイン(木曜午後8時)にレギュラー出演中。それだけではなく、同「24時間テレビ 愛は地球を救う」など定期的に放送される7つの特番のMCや司会を務めている。そこで得た情報や知識を「羽鳥慎一モーニングショー」で折に触れて口にしている。

今のMCには強靱な体力が必要

「DayDay.」の武田アナのレギュラー番組は目下のところ、この番組だけだが、昨年10月放送のTBS系「プレバト!!」(木曜午後7時)に登場したり、同11月に放送されたテレビ朝日系の「ポツンと一軒家」(日曜午後7時58分)にゲスト出演したり。活動範囲が広い。

 熊本県出身であるため、同8月と同12月には熊本県民テレビ(日本テレビ系)の特番「ただいま熊本!武田真一ふるさと巡り旅」に出演。震災から7年の郷里を訪ね歩いた。また、地元紙「熊本日日新聞」で連載「武田真一のおしゃべり多様性」を執筆中。郷土愛の強さをうかがわせる。

 山里の売れっ子ぶりは知られている通り。TBS「東大王」(水曜午後8時)など6本のレギュラー番組がある。

 谷原はNHKの総合音楽番組「うたコン」(火曜午後7時57分)の司会に就いてから丸8年。ほかに2番組の司会を務めている。

 本業の俳優活動も積極的に行っている。4月1日からはカナダのベストセラー小説を原作とする舞台「銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件」(東京・日本青年館ホール)で元宝塚の花總まり(51)とダブル主演する。夫婦愛を問うファンタジー作品である。名古屋公演もある。

 かつて朝の情報番組のMCが専属だったのは体力面での問題もあったから。午前4~5時起きなので、ほかの仕事をするのは難しかった。ほかの仕事もする今の時代のMCは強靱な体力も求められている。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。放送批評懇談会出版編集委員。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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