武田真一アナが参入して1年、テレ朝は絶好調も…視聴率から読み解く「朝の情報番組」最新事情
CM価格はコア視聴率とほぼ比例
民放がコア視聴率を重視しているのはプライム帯(午後7時~同11時)ばかりではない。終日そう。まず、今のスポンサーは「何軒観ていたか」しか分からない世帯視聴率には全く関心がない。CMを入れるにあたって参考にするのは視聴者の数や年齢、性別が分かる個人視聴率のみ。NHKを含めた各局側も個人視聴率を標準にしている。
民放の場合、個人視聴率の中でも特に重んじられているのがコア視聴率。この層は行動全般が活発で、スポンサーが歓迎するからである。CMの価格はコア視聴率とほぼ比例する。
このため、テレ朝以外の局の番組制作者の間では「営業的に一番苦戦しているのは『羽鳥慎一モーニングショー』」というのが共通認識になっている。世間のイメージとは異なる。難しい時代だ。
明らかにコア視聴率狙いの「DayDay.」
「DayDay.」は明らかにコア視聴率狙いでつくられた番組だ。定年まで5年あり、若々しい印象の武田真一アナをNHKから迎え、コア層とぴったり重なる山里亮太と組ませた。
「爽快・情報エンタメトークショー!」と銘打ち、コア層の関心が高いエンタメとトレンドの情報を中心に据えた。政治と事件は相当大きなニュースでない限り、やらない。
3月15日も「3人に1人が“推し活”中高年も夢中のワケ」という特集を冒頭で放送した。“推し活”とは好きな芸能人やスポーツ選手などを応援する活動である。次のコーナーでは嵐の櫻井翔(42)と比嘉愛未(37)をゲストに招き、「春のストール活用術」を放送した。40代以下に歓迎されそうな特集が続いた。
その結果、コア視聴率は狙い通りに1位。だが、「スッキリ」時代より1ポイント以上落ちている。放送時間帯が「スッキリ」より1時間遅くなったことが1番の理由に違いないものの、この番組改編によって午前帯のコア視聴率の独走を目論んでいた日本テレビとしてはまだ物足りないのではないか。
専業主婦から共働きへ…視聴者層が変化
谷原章介(51)がMCの「めざまし8」はスタートから丸3年。個人視聴率もコア視聴率も2位。「DayDay.」開始前よりコア視聴率を0.12ポイント伸ばした。
こちらもコア重視の情報番組に違いなく、トレンドやエンタメの情報を取り上げるが、政治や事件も扱う。はしかの流行や高級時計レンタル詐欺も早くから厚く報じた。気象予報士・天達武史氏(46)が登場しての天気情報も多い。
3月15日の放送でも冒頭で「今週末は東京20度超 全国的に4月並み」と、天気情報を伝えた。
「DayDay.」開始前より各番組の個性の違いが目立つようになった。そうでなくても朝の情報番組は変貌が求められている。まず、フレックスタイム制の普及により、朝の情報番組の終了後、あるいは途中で出勤する人が増えた。このため、天気や交通事情など生活情報の重みが増した。
変貌が求められている理由はそれだけではない。視聴者層が一変したからだ。1980年には専業主婦世帯が約1114万もあり、共働き世帯は約614万に過ぎず、専業主婦世帯が朝の情報番組のメインターゲットだった。だが、2022年には専業主婦世帯が539万、共働き世帯は1262万になり、完全に逆転。出勤前の人や休日の人を意識しない朝の情報番組は観てもらえない。(数字は総務省調べ)
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