「夜ヒット」超人気司会者・前田武彦は“バンザイ事件”でなぜ、テレビから消えたのか 本人が亡くなる前に語っていた本音「悔やんでいる。でもね、真実とは違った」

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仕事の依頼が目に見えて減った

「問題男」のレッテルを貼られたタレントへの仕打ちは、思いのほか厳しかった。降板劇を境に、仕事の依頼が目に見えて減ったのだ。フジテレビではもう一本のレギュラーだった「ゴールデン洋画劇場」の解説まで降板となった。

 自虐的とも思えるような、あるオレンジジュースのテレビCMにも出演した。画面に登場してバンザイをした後、「またやったか……」とおどけて見せる内容である。商品の売り出し文句は「バンザイ・キャンペーン」だった。

 昭和50年代に入って以降も、朝のTV番組で天気キャスターを務めたり、映画に出演したり、講演のため全国を回ったりといった活動を続けた。が、かつての勢いはもはやなくなっていた。

気になるタレントは「爆笑問題」

 前田は、喜寿を過ぎた今も健康そのものだという。都内の自宅で暮らしており、ときどきテレビ番組への出演や講演といった仕事が入れば出かけていく。週末には三浦半島の周辺で、長年の趣味であるヨットを楽しんでいる。

 昔のような超多忙な日々ではないにせよ、仕事への意欲は衰えていないそうだ。放送界の草創期を築き上げた重要人物の一人として、テレビ界の現状に対してももちろん、一家言ある。

「最近のタレントは、テレビで「ここつまんで』とか『カットして』とかいうでしょう。あれはよくないねえ。自分で一度、言った言葉には責任を持たないと。気になるタレントですか? 反体制の精神を持った司会という意味で、爆笑問題なんていいと思いますね」

 往時の流れるような口ぶりが、いつのまにか戻っている。なお“マエタケ復活”の機会を窺っているようにも見えた。

菊地正憲(きくちまさのり)
ジャーナリスト。1965年北海道生まれ。國學院大學文学部卒業。北海道新聞記者を経て、2003年にフリージャーナリストに。徹底した現場取材力で政治・経済から歴史、社会現象まで幅広いジャンルの記事を手がける。著書に『速記者たちの国会秘録』など。

デイリー新潮編集部

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