薬剤師が語る「花粉症に本当に効く薬」 季節性アレルギー専用商品がポイント… 「医療用でなく市販薬の有効活用」

ドクター新潮 ライフ

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病院で処方される薬と同じものが買える

 例えば、まさに命にかかわるがん治療のための抗がん剤や、高血圧、糖尿病に対処する薬などは、そもそも一般用としては売られていません。一方、水虫や風邪、乗り物酔い、そして花粉症といった、それになったからといってすぐに死ぬわけではないような症状に対処する薬は一般用としても売られています。

 もちろん、水虫や風邪、花粉症も、病院で受診し医療用医薬品を処方してもらうこともできますが、これらの症状に処方される薬のラインナップは、医療用と一般用でほぼ変わりません。ドラッグストアでも、病院で処方される薬と同じものを購入できる、ということです。

 したがって花粉症も、ぜんそくやじんましんが出るなど全身にアレルギー症状が現れているようなケースを除けば、病院に行かずとも一般用医薬品で十分に対処が可能なのです。それでは、どんな薬を選べばいいのでしょうか。

市販薬のほうが優れている点も

 花粉症の薬の「二大巨頭」は、飲み薬である「抗ヒスタミン薬」と、「ステロイド点鼻薬」です。そして現在、「最も効果的な花粉症薬」とされ、世界的にも主流になっているのはステロイド点鼻薬です。花粉症の症状としては、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりが挙げられますが、炎症をダイレクトに抑え込むステロイド点鼻薬は、これら三つの症状全てに対して、抗ヒスタミン薬よりも高い効果があります。

 もともと花粉症薬としては抗ヒスタミン薬が主流でした。生死にかかわらない花粉症にステロイドをもって対処するのは、例えるならば、ひったくり犯を捕まえるのにロケットランチャーを用いるくらいオーバースペックなのではないかと考えられていたからです。

 しかし、臨床研究が積み重ねられていくなかでステロイド点鼻薬の有効性や安全性が確認され、むしろこちらを主軸として使ったほうが花粉症の症状をしっかり抑えることができる、ということが分かってきました。そのため、鼻詰まりには効きにくく、眠くもなりやすい抗ヒスタミン薬を使うよりも、ステロイド点鼻薬をメインで使うのがいいというのが最近の世界的な潮流となっているのです。

 そのステロイド点鼻薬に関しても、先ほど説明した通り、医療用医薬品と一般用医薬品で効き目はほとんど変わらないといえます。違いがあるとすれば、現在、医療用のステロイド点鼻薬は1日1回で済むのに対して、一般用は1日2回、鼻に噴霧する必要があり、「1回分だけ面倒くさい」といった点くらいです。この1回分の手間さえ我慢すれば、市販薬で十分に対処できます。それどころか、市販薬のほうが優れている点もあるのです。

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