なぜ佐々木麟太郎「スタンフォード大」進学は“やっかみ”を呼ぶのか 日本人を思考停止にする「和病」の正体

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批判的反応

 新日本石油の田澤純一は2008年、ドラフトの有力候補だったが、ドラフト拒否を明言し、アメリカを目指した。これにより、NPBはドラフトを拒否して海外の球団と契約した選手は、帰国後の3年間(高校生)または2年間(大学生・社会人)ドラフト会議で指名しないという取り決めをした。いわゆる「田沢ルール」であり、2020年、公取委から独禁法違反の指摘を受け撤廃した。実質的に田沢ルールは「NPBの慣行を破る『和』を乱す選手がこれ以上出ては困る」というものである。

 野球ではないが、小室圭さんも和病により糾弾された。母親の借金問題が発端だったものの、「将来の天皇の義兄に果たしてふさわしいのか」に発展。さらには秋篠宮家バッシングに繋がった。アメリカのロースクールに行き2年連続で司法試験に落ちたら日本のネットでは拍手喝采。今では年収約4000万円と引く手あまたの状態になっているようだが、凋落を願う声が相変わらず書き込まれている。

 こうした例から見ても佐々木麟太郎に対する批判的反応は日本人のお家芸で想定通りだったといえよう。そして、今後佐々木の学業・野球両方の成績が芳しくなかった場合、喜ぶ声も書き込まれる。だが、野茂、イチロー、田澤、さらに言うと「二刀流」を否定された大谷翔平のような活躍をしてアンチを見返してください。ただし、そんな連中よりもアメリカで出会う仲間の方がいい人が多いと思います。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。

デイリー新潮編集部

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