なぜ佐々木麟太郎「スタンフォード大」進学は“やっかみ”を呼ぶのか 日本人を思考停止にする「和病」の正体

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残るモヤモヤ

 高校野球で140本塁打を放った花巻東高校の佐々木麟太郎選手が、米・スタンフォード大学に進学する。昨今アメリカの私立大学の学費は4年間で5000万円かかる、などとも言われているが、そうしたことから日本のネットでは佐々木に対し、やっかみ混じりの反応が見られた。「運動ばかりやっていたくせになんでそんな名門に入れるのだ」「ただスタンフォードの学歴が欲しかったのか」「どうやってSAT(共通テスト)やTOEFLでまともなスコアを取ったんだ。そしてカネはどこから出たのだ」――などなど。

「サンデーモーニング」(TBS系)で関口宏氏は「野球したいのか、違うことしたいのか?」と暗に佐々木の姿勢がブレている、と指摘。元々この番組はメジャーリーグに行く選手に対し、張本勲氏が「残念だねぇ~」と語ることで知られている。そして結果を残せないと「だから早く帰って来なさい、と言っていたんですよ!」と発言するのも定番だった。

 佐々木は野球の特待生のため、大方奨学金で免除されるとの報道もあるが、とにかくこの件に対する一部の反応にはモヤモヤが残った。そんな中、スタンフォード大学で学費・寮費などの全額補助を得た徳島文理高校出身の松本杏奈さんがX(旧ツイッター)で佐々木批判に対して反論したが、正論である。

「和病」レベル

<スポーツ選手が世界最高峰の教育を受けて何が悪い?文武両道の何が悪い?スタンフォードでは皆やってるよ。佐々木選手についてのコメントあまりに酷すぎます。遅れを取りすぎている。きっと彼はスタンフォードで幸せになる。日本の蟠り全てから解放されて自分の目標に打ち込める最高の環境>

 本稿では佐々木に対する反応から分かる日本人の閉鎖性と、嫉妬感情がもはや「和病」レベルにあることについて書いてみる。まず、「和病」とは一体何か? 新型コロナウイルス騒動でとんでもなく露見した“病気”だが、ネットスラングの一つで、以下のように定義されている。

<絆、団結、連帯、信頼といった不可視である「和」に執着し、それを乱すものを悪と捉え、考える力が無くなる、いわゆる思考停止状態にする、日本人に顕著にみられる精神疾患のこと>

 これに補足すると、「和病」には「皆で連帯して成功者を引きずりおろそう」「一人だけ我が道を行く人間の道は塞ごう」「もっともバカに合わせてあげ、先に行こうとする人は引き返させよう」「自己責任で危険な場所に行った人間は見捨てよう。救うための税金は無駄」ということになる。

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