「川勝知事は“反対のための反対”を繰り返している」 リニア工事を巡って地元首長らもあきれ顔

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「反対のための反対」

 さる県政関係者が言う。

「知事はもはや“反対のための反対”を繰り返していると言わざるを得ません。というのも、ボーリング調査を行えば着工が危ぶまれる結果が出る可能性もある。まず調査をしなければ始まらず、その点では反対派であっても今回の調査を拒む理屈は成り立ちません」

 何しろこれまでも、

「知事は『水』以外にも、リニア工事にゴーサインを出さない理由を挙げてきました。それは『土』問題で、静岡工区の工事では370万立方メートルの土が出ます。知事は一昨年、この残土置き場を視察しており、『深層崩壊を起こす可能性がある』と主張したのです」(同)

 こうしたあの手この手の戦法によって、

「県内の自治体の首長らとの間に生じていた“ズレ”が顕在化しています。先月25日付の中日新聞には大井川流域自治体のまとめ役的な立場にある染谷絹代・島田市長が登場し、『知事の権限を逸脱した方へ話が広がって、議論を分かりづらくしている』と痛烈に批判しています」(同)

次は「地震リスク」?

 先月29日には、水資源や環境対策を確認する国の「モニタリング会議」が初会合を開催。JR東海と県との“隔たり”を指摘し、対話の促進を求めたのだが、

「これに先立ち2月14日の会見で知事は、会議の座長の人選について尋ねられ、8人の識者の名を挙げました。結局、いずれもメンバーには入らなかったのですが、その中で『トンネルを掘ると地震微動みたいなものが大きくなるでしょう』として、真っ先に高名な地震学者の名を挙げていた。もしや『水』『土』の次は着工反対の根拠として『地震リスク』を言い出すのでは、などと不安視する声もあります」(前出記者)

 当の川勝知事に尋ねると、

「現在、県議会2月定例会が開催されており、知事も連日登壇しております。取材はお断りいたします」(知事戦略局広聴広報課)

 世紀の大工事は、いっそう遅れそうな気配なのだ。

週刊新潮 2024年3月14日号掲載

ワイド特集「本音」より

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