「光る君へ」業界のプロから「ながら視聴に向いている」と言われるワケ
芸人が目立つキャスティング
「吉高と黒木華、まだ出番はあまりありませんが高畑充希という好感度が高く視聴率も持っている3人をキャスティングしたことには感心しました。ただし、民放のドラマで見慣れているので、驚きはありません。また、主人公の周りの主要人物も、柄本佑、段田安則、佐々木蔵之介、高杉真宙、井浦新……正直言って、昨年の日曜劇場『VIVANT』(TBS)のほうが豪華でした。むしろ『光る君へ』では、天皇側近を演じるお笑いトリオ・ロバートの秋山竜次、紫式部のライバルの清少納言を演じるファーストサマーウイカという本業は役者ではない2人が注目されています。少し残念ですね」
にもかかわらず、数字がそれほど落ちていない理由は?
「これまで描かれていない時代ということは、手垢がついていないということになります。しかも、平安時代についての知識は高校受験程度という人がほとんどでしょう。紫式部は『源氏物語』の作者、藤原道長は天皇家と外戚関係を築いて権勢を誇り、“望月の~”という歌を詠んだ人、息子の頼通は10円玉の平等院鳳凰堂を建てた人……。実際どんな人物だったのだろうという興味がわいてきます。当時の天皇も雲上人ではなく、出家させられたりと人間味が溢れていて物珍しさもあるんです」
そうはいっても、やはり戦国時代に比べると迫力に欠ける。
ながら視聴に最適
「内容がゆるいのは、“ながら視聴”にちょうどいいんです。吉高と黒木の2人もふんわりとしていて、安心して気を抜いて見ていられます。昨年の大河『どうする家康』の北川景子や有村架純ではこうはいきません。松嶋菜々子まで絡んできて、視聴者は正座してテレビ画面と対峙する覚悟が必要でした。男性のキャストも、岡田准一が演じる狂気の信長はじめ、阿部寛、松山ケンイチ、大森南朋、ムロツヨシと主役級が並び、豪華すぎて気を抜くことができませんでした。おまけにCGで馬が駆け回り、派手な戦闘シーンは見ていて疲れました。対して、『光る君へ』は歌に蹴鞠と平和な画面が続きます。シチュエーションもコロコロ変わらないので夕食を食べながらでも、食事後なら明日の支度をしたり雑誌や新聞に目を通したりしても、ストーリーについて行けるのです」
なるほど。
「これはテレビで視聴率を取る上で大事なことで、『芸能人格付けチェック』や『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』(日本テレビ)にも通じる“心地よいダラダラさ”なのです。脚本の大石静さんの作戦かもしれません」
初回放送後、吉高がXにポストした内容も話題になった。
《さてさてワースト1位からどう昇るのか/これには皆様のお力添えが必要です/面白い番組が沢山ある中、下剋上大河として/最後には沢山の人に愛される作品になっていたらいいなと思う今日でした》
「光る君へ」は“下剋上大河”になり得るだろうか。