「スイカップ」報道後、NHK内は大騒ぎに…古瀬絵理が明かす上司からの「羽織もの」指令
「ここが注目されちゃうんだ」
昨年、6年ぶりにグラビアに登場したNHK山形の元キャスター・古瀬絵理アナ(46)。20年前に「スイカップ」と報じられ、その名前は一躍、全国区となった。4年間のNHK勤務後は、フリーとなりテレビの情報番組やグラビアなどで活躍する。時代は変わり、「ルッキズム」などの言葉が注目される今、古瀬さんは何を思うのか、語ってもらった。(インタビュー前後編の後編)
前編【「スイカップ」の大見出しから20年 元NHK古瀬絵理アナの今 グラビア再開のきっかけは】のつづき
【写真】「ちょっとハードかな」と尻込みも…古瀬絵理アナが6年ぶりグラビアで大胆ショット
「スイカップ」の文字を見たのは、NHK山形のキャスターを始めて、3年目に入ったころです。夕刊紙で報じられてビックリしたのを覚えています。当時、「普通に地味に一生懸命やっているだけなのに、ここが注目されちゃうんだ」という思いと、「生まれつきだから仕方のないことなのにな。これは」という戸惑いがありました。
報道直後、NHK内は大騒ぎでした。どうやら、週刊誌の記者さんが張り込んでいたみたいで、昼休みは外に出ないように言われました。当時の上司が先輩アナに対して、「もし何か古瀬君が困っていたら、ご飯とか買いに行ってあげてくれる」とお願いしたりして…。余計なことを言うから、先輩アナにすごく睨まれました。
放送中はもちろん、局内でも胸を隠せるような羽織ものを着るように言われました。そんなにジャケットもたくさん持っているわけではないので、困りましたね。「胸が大きいのはそんなに悪いことですか?」という風にも思ってしまって…。
NHKとしては、胸を隠すことで「なるべく話題にならないように」と、守っているつもりだったようですが、持って生まれたものを否定されているようで辛かったです。当時、「そのままでいいんだよ」と言ってくれる人は、誰一人いなかったです。
その後、一人だけ、「それでいいよ。何も気にしないよ」と言ってくれたのが、現在の夫です。うれしかったですね。「この人は、私の胸のこととか、全部背負ってくれるんだ」と思うと、気が楽になりました。
「ルッキズムはダメ」に疑問
胸に関しては、小学生の時から大きかったんです。でも、特にコンプレックスに思うようなことはなかったです。陰でコソコソ、言われることはありましたが…。
誰かが持って生まれたものを否定したり、悪口を言うのは、「大きなお世話ですよね」と思いますね。ただ、今は人を見た目で判断するのが悪いという風潮があります。でも、そこまで本当に言い切れるのか、と冷静に見ています。
「美しい」「かわいい」「かっこいい」ものに惹かれるというのは、本能的なものだと思います。だから、一概に「ルッキズムはダメ」っていうのは、少し違うのかな。みな、自然に美しい人に惹かれると思うし、美しいものにみんな手を伸ばしたくなると思うんです。
もちろん、見た目で差別するのは良くありません。でも、ネットを見たり街に出たりすると、「整形前後」「こんなに痩せました」「美脚」という広告が目に入ってきます。これは、ルッキズムを助長しているんじゃないかと感じたりします。
ルッキズムの話とは違うかもしれませんが、私の場合、特に若いころは初めて男性に会うと、顔からではなく胸から目線が上がってくると感じることが多かったんです。今でこそ胸をチャームポイントと受け入れていますが、若いころはとても嫌でした。
周りからは「絵理ちゃんのことを知るきっかけになっているから、悪いことではないと思うよ」と言われます。そういう声を聞いていくうちに、「自分はこのままでいいんだ」と思うようになりました。隠さなくていいと。
フリーになった直後は、自分の胸に対して否定的でした。もう少し胸が小さかったら、色々過ごしやすかったかもしれないなって。それが態度に出てしまって、マイナスに働いたこともありました。よく考えると、この胸があったからこその今なんですよね。
息子には、「グラビアはお母さんの居場所の1つなんだよね」という説明はしたいなと思っています。「あなたにも肯定する場が必要なように、私にも肯定する場は必要で、この仕事をしているよ。お母さんの持ち味を行かせる場所だよ」と。
「スイカップ」という言葉は、今振り返ると、本当にすごい言葉だったなと思います。山形というスイカの名産地出身だったので、見出しをつけたと思うのですが、インパクトがあって、私の年代以上の人は今でもそれで覚えてくれています。
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