甲斐拓也(31)と大城卓三(31)で“交換FA”の現実味 阿部監督は“秘蔵っ子”で身辺調査済み? 球史に前例も

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甲斐のソフトバンクへの不信感

 前出の編成担当はこう答える。「それもあるかもしれませんが、他球団の捕手の動向が絡んでいるからではないでしょうか。今年のオフは大城以外にもFAになる可能性がある捕手が目白押しです。彼らを品定めし、獲得の余地を残しておくために大城とは単年契約にとどめたのだとみています」

 今オフはソフトバンクの甲斐拓也捕手(31)、中日の木下拓哉捕手(32)、阪神の坂本誠志郎捕手(30)が順調なら国内FA権を取得する。さらに阪神の梅野隆太郎捕手(32)は既に海外FA権を保有し、今季で3年契約が切れる。阪神の2人は現時点では球団が慰留に向けて全力を尽くす方向で、木下は立浪和義監督の去就に左右されそうだが、特に甲斐は巨人の調査対象として優先順位は最も高いとされる。昨オフ、甲斐がソフトバンクからの複数年契約の提示を固辞し、あえて単年契約を選んだ経緯は移籍に信憑性を与えている。

「甲斐は生え抜き選手の軽視を理由に、球団フロント陣に不信感を抱いていると聞きます。年俸で外国人や近藤(健介外野手)や山川(穂高内野手)など他球団から獲得したFA選手を厚遇し、生え抜きは一定の実績を積んでもポジションすら保証されないこともあります。甲斐がFA移籍の選択肢を排除していないことは明らかです」(元NPB球団監督)

甲斐と山瀬は師弟関係

 甲斐と阿部監督は縁がないことはない。20年オフ、持ち前の強肩で今季のブレークに期待がかかる“秘蔵っ子”の山瀬慎之助捕手(22)の存在が“仲立ち”になっているからだ。

 山瀬はプロ1年目の2020年オフから昨オフまで、4年連続で甲斐の自主トレーニングに参加している。山瀬のたっての希望で実現したそうで、甲斐は師と仰ぐほどの存在だ。

「自主トレ期間中は寝食を共にし、2人は多くの時間を共有しています。阿部監督は山瀬を通じ、ここ何年かの甲斐のソフトバンク球団への不信感も把握済みでしょう。甲斐に獲得のチャンスがあると踏んでいるからこそ、巨人は大城に複数年契約を出さなかったようにも見えます。阿部監督の野球は攻撃より守備が優先で、大城の粘り強さを欠くリード面には物足りなさを感じていたそうなので、守備型の甲斐に興味を持ってもおかしくありません」(前出の編成担当)

 仮に今オフ、甲斐の巨人移籍が現実味を帯びるようだと、大城は移籍を考えざるを得なくなるだろう。

「打てる捕手は、日本球界では大城のほかは森(友哉=オリックス)ら数えるほどです。希少価値が高いことは言うまでもありません。年俸(推定1億3000万円)が巨人ではBランクというのも、獲得のハードルを下げるでしょう」(同前)

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