【リニア問題】知事は私たちが思っていないことを発言している…気が付けば、川勝知事の方針に異を唱える地元首長が続出 再び暴言で窮地に拍車

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正当性を失った“環境保全”

 川勝知事が「リニアの工事で発生する湧き水は、全量を静岡県に戻してほしい」と要求しているのは、ご存知の方も多いだろう。

 JR東海は山梨県内で「高速長尺先進ボーリング」を使った調査を行っている。リニアが走行するトンネルを掘削するにあたり、地質や湧水量など必要なデータを得るためだ。また、工事に関する予測の不確実性が小さくなるというメリットもある。しかしながら川勝知事は、この調査にも一貫して慎重な姿勢を表明してきた。

「山梨県の調査場所は静岡県の県境に近く、本来なら静岡県でもボーリング調査を行う必要があります。とはいえ、現時点ではあくまでも山梨県内で行われる調査です。なぜ他県で行われる調査に川勝知事が異議を唱えているのかといえば、『ボーリング調査で山梨県に発生する湧水は、山梨県の地下水ではなく静岡県の地下水だ』と主張しているからです」(同・記者)

 川勝知事はリニアの工事そのものにも“ブレーキ”をかけ続けてきた。それは「工事で大井川の水が減る危険性がある」というのが“錦の御旗”だった。

「同じように大井川の水が減少することに懸念を示してきた流域自治体の首長が、大井川流域の住民のことを考え、不安を払拭するためにむしろ『ボーリング調査を進めてほしい』と要望し、『地下水が流出しても戻さなくていい』との見解を明らかにしたのです。当事者である流域首長が川勝知事の方針に“反旗”を翻し、知事の掲げる“錦の御旗”が正当性を失いつつあるのではないかという見方が出たのは当然だと言えます」(同・記者)

「流域の代弁者ではない」

 今回の染谷市長の発言には田代ダムが関係している。ダムは大井川の上流に位置し、導水管で川の水の一部を取水して山梨県の早川町に送水。水力発電所の田代川第一・第二発電所で使用されている。

「ダム発電施設の改修工事が来年の11月まで予定されており、現在、取水は行われていないのです。ボーリング調査で開ける穴は直径が35センチから10センチなので、『ボーリングによる湧き水は、ほとんど発生しないのではないか』と予測する専門家もいます。また、田代ダムの水利権は毎秒約5トンという大きな量ですから比較になりません。そのため染谷市長は『たとえ山梨県へ湧き水が流出しても、改修工事が行われている間なら、湧き水を大井川に戻す必要はない』と発言したのです」(同・記者)

 実は意見交換会が行われた2月25日は、もう一つ大きな“事件”が起きていた。中日新聞が朝刊の1面に染谷市長のインタビュー記事を掲載したのだ。

「記事に衝撃を受けた人は多かったでしょう。何しろ染谷市長が川勝知事を《流域の代弁者ではない》とし、《私たちが思っていないことを発言している》、《知事の権限を逸脱した方へ話が広がって、議論を分かりづらくしている》と厳しく批判したのです。この発言が波紋を呼ばないわけがありません」(同・記者)

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