ウクライナ各地に建つ「プーチンの墓」の謎に迫る

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「プーチンとの戦いに終わりは見えない」

「ドニプロの検問所でプーチンの墓を見かけた」

 という情報を頼りに、幹線道路を北上した。

 近くで暮らす元役場職員のオレガさん(70)はこう話す。

「プーチンの墓? 聞いたことないわ。今度の大統領選挙はプーチンに決まって、それでおしまいでしょ。私が一番好きだったのはブレジネフ。みんなで農機具を使えるようにしてくれたから」

 プーチンに対する憎悪は、墓石へと形を変えただけではない。

 ドニプロ市の給油所では、プーチンの顔が描かれた駐禁ステッカーが販売されていた。やはり不人気なのだろう。45%も値引きされ、約80円だった。

 墓碑のプーチンが見据える先45キロのところに、ロシア軍が制圧したアウディーイウカがある。

 20代のウクライナ人男性は墓碑を横目に、こう話す。

「プーチンとの戦いに終わりは見えない。きっと私の息子も兵士になって戦うことだろう」

 今回の再選に向けてプーチンは、2036年まで大統領を継続できるよう選挙法を改正した。戦犯の暴走は止まらない。

撮影・文 尾崎孝史

尾崎孝史:映像制作者、写真家。NHKでドキュメンタリー番組の映像制作に携わるほか、映画『未和 NHK記者の死が問いかけるもの』(Canal+)を監督。著書に『汐凪を捜して 原発の町大熊の3・11』(かもがわ出版)。『未和 NHK記者はなぜ過労死したのか』(岩波書店)。写真集『SEALDs untitled stories 未来へつなぐ27の物語』(Canal+)で日隅一雄賞奨励賞、JRP年度賞。ウクライナ侵攻後は、現地に移住し、週刊新潮、東洋経済オンライン、毎日新聞などに寄稿。

週刊新潮 2024年3月21日号掲載

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