大谷翔平の結婚会見で見えた「うるさい」日本メディアの特殊体質 「手料理」「子ども」を聞く昭和丸出しの番記者たち
これだけ「ハラスメント」時代と言われても……男性有名人の結婚会見で必ず出る二つの質問
大谷選手の囲み取材で、地元テレビ局「スポーツネット・ロサンゼルス」のキルステン・ワトソンさんが最初にしたのは、「いつから2日連続で試合に出ると思っていますか」と野球に関する質問だった。野球に集中したいから騒がれる前に発表したという、大谷選手の気持ちを酌んだ対応である。
一方で、日本人記者団は結婚関連の質問に集中。お決まりの質問もやはり出た。
「好きな手料理」と「子どもについて」である。
「(3~4年前の出会いということで)二刀流になった時期、食生活などの支えとなったのか」「好きな奥さんの手料理は」という質問があったが、大谷選手はさらっとかわしていた。後日出た「Number」の記事において、親交の深い記者に「奥さんの作ったドライカレーがすごくおいしかった」と素直に明かしていたことを考えると、自分の不用意な一言がメディアに切り取られ、妻の料理の腕やセンスをあれこれ言われることが嫌だったのだろう。
また子どもの希望について聞かれると、「もちろんそうなればいいですけどね、自分以外のことは言うとかなわない気がするのであんまり言いたくない」と回答していた。高校時代に作った人生設計シート上で、33歳までに3人の子どもを授かると記されていたことをふまえての質問ではあるが、相当センシティブな質問である。
「居心地が良かったから結婚しました」と言っているのに、妻の料理の腕や子どもの予定を聞きたがる。選手個人の「愛する女性だから」という気持ちは蔑(ないがし)ろにして、「国民的アスリートの妻として納得できる素質は何か」を求める。「おいしい食事で夫を支え」「子どもを望んだだけ産める健康で体力のある女性」かどうかを探る質問は、食事を作るよりも着飾って人前に立つ時間が多く、不規則な生活をしがちな女子アナは不向きという意識と地続きである。ハラスメントに敏感な時代になったとはいえ、こと男性アスリートの結婚となるとなぜ記者は急に古臭くなってしまうのだろうか。
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