大谷翔平の結婚会見で見えた「うるさい」日本メディアの特殊体質 「手料理」「子ども」を聞く昭和丸出しの番記者たち
次々と常識を超えてきた大谷翔平選手は結婚の発表においても新しい基準を示したといえるのかもしれない。
しかし、ライター・コラムニストの冨士海ネコさんは、結婚発表の際の囲み取材に違和感を抱いたという。そこにあまりの「古さ」を感じたというのだ。
以下、冨士海さんの見解。
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ドジャースの大谷翔平選手、ご結婚おめでとうございます。日本時間の2月29日夕方にインスタグラムで発表されるなり各局が速報ニュースに切り替え、Xでトレンドに。翌朝現地での囲み取材でも受け答えに緩急を利かせ、メディア対応まで完璧な“三刀流”だと世間をうならせている。
替わって必要以上に株が下がっているのは、徹底した秘密婚から105日で離婚という道を選んだ羽生結弦さんだ。大谷選手と同じ1994年生まれ、アスリートとしての注目度も実力も人気も伯仲していたのに、結婚発表は雲泥の差だと比較するような論調さえある。
けれども大谷選手の結婚をめぐる一連の報道を見て、羽生さんが過度に警戒した理由もまたよく理解できるのではないだろうか。ひとつは、大谷選手の結婚発表後にSNSやネットニュースでやたらと強調された「女子アナでなくてよかった」という声の多さだ。
多様性の時代と言いながら、特定の業種の女性を排除して一致団結するのは、ちょっと異様ですらある。もしもお相手が実はアナウンサーやキャスター経験のある女性だったりしたらどうするのだろうと、ハラハラしてしまった。(※3/15にインスタグラムで妻の写真を公開した)
そもそもなぜ、女子アナではダメなのか。なんとなく、ミーハーで目立ちたがり屋っぽいからという理由以上のものは無い気がする。
大谷選手に関しては、ご両親が女子アナとの結婚を反対しているといううわさもささやかれていただけに、「女子アナNG説」は根強かった。でも、昔から女子アナと結婚するメジャーリーガーは多い。イチロー選手と福島弓子さん、石井一久選手と木佐彩子さん、松坂大輔選手と柴田倫世さん、菊池雄星選手と深津瑠美さんなど。彼女たちが問題を起こしたという話は聞かない。むしろ慣れない異国の生活において、英語を喋れて社交性のある女子アナはメジャーリーガーの妻にピッタリだ、という意見だってある。
ただ一般的に女子アナという職業は、自分が目立つことが優先で家事が不得意そう、奥様会でモメそう、だから夫を支えられない人が多そう、というイメージになるのだろう。
スポーツ選手の妻は、三歩下がって夫を支えるべき。その価値観はメディアを通じて、お茶の間にも深く根を張っている。それは結婚会見でお決まりの「質問」にも垣間見えた。
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